【読書記録】生者と死者―酩探偵ヨギ ガンジーの透視術― 泡坂妻夫

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公開:2024/11/23

"はじめに袋とじのまま、短編小説の「消える短編小説」をお読みください。そのあと各ページを切り開くと、驚くべきことが起こります――。"

マジックにはトリックが隠されていることやミステリの定石を知らぬうちに読みたかったな、というのが正直な感想だった。袋とじがあることで仕掛けについて意識しながら読んでしまい、早々に「こういうことだろうなあ」と見当がついた。ペーパーナイフで本を開き、まったく異なる展開となった話を読みながらも、その驚きよりもしかけは予想通りであったことの方に意識が持ってかれていってしまっていた。

袋とじを開いてからの話はおもしろかったのだ。仕掛けのことを一切意識せず――本が開ききり、そこにまやかしのない状態で出会いたかったと思ってしまった。どうやら自分は奇術師も探偵も向いていないらしい。