成人向け同人ゲームを買うとたまに、これ、ゲーム以外の媒体でもよさそうだな、というものがある。
たとえばアドベンチャーゲームで、選択肢に応じてルートやEDは変わるけれど、それはあくまでもどの話を読むかの選択肢にしかなっていない、というもの。ゲームは読むものではなく体験するものだと私は思っているので、選択するとき、そこにひとつ緊張感や重みがあると嬉しい。あるいはささやかでも実績があるだけでも違うと思う。ストーリーが良ければそのあたりは気にしないのだけど、成人向けの場合はそのあたりに力を入れていない場合もあり、そういう時はちょっと気になってしまう。本当に、ただお目当てを見るだけ、というのはちょっと味気ない。
あるいはトゥルーエンドみたいなものがあれば、それはゲームとして出した意味は十分にあったと思う。小説とか漫画には、「もしも」がない。一応番外編とかで出すことはできるだろうけど、それでも、一つの作品の中で選べるのは一つだけだし、それらすべてが読まれると保証はできない
でも、ゲームであれば、ある条件を満たしたときに初めて、プレイヤーに「もしも」の結末を提示できる。プレイヤーが最後のルートに向かうとき、確実に、作者が望む全ての「もしも」の物語を知っている。そこには一つの作品内であるからこその積み重ねがあって、だからこそ生まれる感動があると思う。
成人向け同人に求めすぎかもしれないけれど、結構こちらの予想を上回るクオリティや発想の作品を見つけることができる。そういう作品が俺は好きだし、同人の醍醐味でもあると思う。