私は22歳で生まれた

sheepyo
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記憶を喪失している。17歳の時と、21歳の時だ。正確にはそれぞれ、17歳から18歳にかけてと、21歳から22歳にかけてである。

特に怪我をしたとかではないので、原因としてはストレス、ということになるだろうけど、病院に言ったわけではないので定かではない。

そもそも、自分が記憶を失っていることにはしばらく気づいていなかった。17歳の時の記憶喪失については、学校を無断で休んでどこかをうろうろし、暗くなってから家に戻ったという事件があったらしいのだが、そんなことを自分が一切知らないことと、同級生と話していて、自分もその場にいたはずの話が全然分からないことから、どうも記憶がないらしいぞと気づいた。

感覚的な話なのだが、忘れている、とは違うのだ。思い出そうとしてもその手掛かりすら見つからず、聞き覚えはある、という感覚もない。知らない、という感覚が一番近い。

これと似たようなことが21の時にも起きている。これについて、自分にとってとてもショックなことがあり、そこで何があったかは覚えている。ただ、その周囲のことを、どうにも思い出せない。17歳の時は特定の期間がまるごと知らないのだけど、21歳の時は、記憶が多くが虫食いになっていて、ショックをうけた部分は思い出せる。そういう意味で、21歳のときは記憶喪失というよりは忘れた、という方が正しいのかもしれない。

ただ、いずれにせよ記憶に乏しいのは確かだ。影響があるのかはわからないけど、18歳以降、喪失した期間以外の出来事についても、覚えていないことが増えた。自分のエピソードに対する記憶力が落ちたような感覚がある。22歳以降はそれに輪をかけて。

もう一点困ることとして、過去の自分に対し、いまいちアイデンティティを感じにくい。流石に、昔あったことを覚えている分には懐かしがったりすることはできるけど、高校生の頃の自分については本当に記憶の大部分を失っているので、どうにも他人の話のような気がする。高校時代の友人について、本当に自分が仲良くしていたのだろうか、という漠然とした不安がある。

22歳以降の記憶については、特に途切れた部分があるわけではない。しかし、それらの記憶すらも、多分人よりも脆弱だ。

自分がとてつもなく浅い人間であるような劣等感があり、そしてそれは間違っていない。常にその場にあるもので生きているような感覚がある。自らの語彙や話題の貧弱にはうんざりする。

そしてそれは、一生続くのだと思う。