会社では社内施策の改善サイクルを回すために、アンケートを行う手法はよく取られています。語る内容が一見なさそうですが、実は回数を重ねることで様々な改善点が意識できました。そこで忘れられがちだと非常に重要だと考えた気づきを整理し、今後の社内アンケート運営に活かしていきたいと考えました。
目的が明白になっている
アンケートを取ることはあくまで手法(How)であって、アンケートありきではなく、まず目的(Why)をはっきりさせなければなりません。
状況確認をしたい、もしくはアクティビティのフィードバックをもらいたい時、アンケートを取る方法を使うことが多いと思います。アンケートのデータを受け取った後、どのようなアクションを取り、何を達成したいかを考えると、目的を明確にするのが容易になります。場合によってアンケートより軽い手法を取るか、アンケートの回答者を絞る判断にもつながります。
特にアンケートを作っている時、もっともっと聞きたい質問が頭に浮かんできます。記述質問の場合、回答コストが設問の作成コストを遥かに上回ることが多いです。しかもそのコストは全回答者が負わなければいけません。基本的に設問が多ければ回答率が低くなるので、目的と照らし合わせながら、「この設問が本当に必要か」と常に自問すべきです。
公開範囲が明言化されている
アンケートで率直な意見を得るべきで、得るために回答者からの信頼が不可欠だということはもはや自明で議論する必要もないと思います。一方、アンケート結果の公開範囲を明示することで、回答者の期待値を適切に調整する重要性もしばしば見落とされます。
個人の経験上、アンケートの集計データには少なくても下記の3つのレベルがあります。
統計情報:平均値や偏差値など。自由回答がある場合、回答の趣旨がまとめられた文章が運営者によって書かれています。
個別匿名情報:マスキングか匿名化によって回答者が特定できない個別回答の生データ。自由回答がある場合、表現から回答者が特定できないテキストになっています。
生データ:回答者が特定できる、一切加工されていないデータ。
これまで体験してきたケースだと、公開アンケートか非公開アンケートでアナウンスされて終わりのケースが多く、結局回答データは誰がどこまで確認できるかわからないままになってしまいます。そこで回答者が想定していた公開スコープと運営者が想定していた公開スコープが異なり、期待値のズレによって不信が発生し、以降のアンケートで素直な意見が永遠に得られなくなることは最悪な事態です。
実験回答が実施されている
アンケートを作った後、運営者が実験回答を絶対やった方が良いと考えます。これまでの経験上、作成時かなり気をつけたとしても、実際に回答者としてやってみたら不備が確認されたケースがよくありました。ちゃんと回答者の立場に代入して回答を試みることで不備が遥かに認識しやすくなります。
不備確認だけでなく、回答者になりきって回答することで、より回答しやすく洗練されたアンケートにブラッシュアップすることが可能になってきます(ブラッシュアップを行うとき、アンケートの目的を意識し忘れないように)。また、およその回答所要時間のイメージができるようになるので、期待値通りかどうか判断できるようになります。
振り返りが行われている
見せかけ目的(やらないでください)を除き、アンケートの回答データに対する振り返りはほぼ間違いなく行われると思います。ただ、アンケートの内容自体をあとで振り返ることはよく忘れられます。アジャイルレトロスペクティブズ本の中で、レトロスペクティブミーティングのレトロスペクティブはちゃんとやった方が良いと言われていたように、アンケートも同様です。「設定して良かった設問はなんだったのか」、「不足していた部分はどこだったのか」をちゃんと意識できれば、アンケート自体の改善にもつながります。
振り返りの中で特に重要視したいことは定点観測の観点です。例えば状態確認の場合、一回のアンケートで得られる大事な情報が限られているので、どのような設問だったら各回の比較が実施できるようになるか(もしくはより実施しやすくなるか)を意識した振り返りが有益だと考えます。