大学院生向けに非常勤講師としてライティング(文章を書くこと)の講義をしている。僕の担当は就活のエントリーシートを題材にしていて、今日はテキスト生成AIの活用例を紹介。すると、こんな質問を受けた。
「生成AIを使用した文章は企業に判断できる?」
生成AIの出力をもとに文章を書いたとして、そのことを企業が見抜くことができるかどうか、ということ。
うーん、と少しだけ考えた後で出した僕の答えは「たぶん無理でしょうね」。つまり、企業はその文章が生成AIベースかどうか判断できないだろう、という結論だ。
生成AIがそのまま出力したものなら、結構わかるようになってきた。少なくともChatGPTが出力する文章にはクセというか特徴があり、2か月も使っていればこの文章はChatGPTが出力したものかどうか、だいたいわかる。
ただ、生成AIの出力をベースにして改めて人間が書く、もしくは人間が書いたものの校正や表現変えしたものについては、おそらく誰にもわからない。「ChatGPT使ったかもなー」と思われる可能性はあるけど、断定はできないだろう。
「学生なら自分の言葉でエントリーシートを書け」という意見もあるかもしれない。ぶっちゃけ、ネットや本を探せば「仕事で生成AIを使う!」みたいなコンテンツがいっぱいあって、会社員が仕事で生成AIを使うこともある以上、就活している学生が生成AIを使うことに問題はないはずだ。むしろ歓迎されることもあるのではないか。
その一方で大切なことは、就活はエントリーシートを書いたら終わりではないということ。書類選考が通ったら、その後には面接がある。面接では、エントリーシートに書いたことをもとに面接官が質問をする。
もし、エントリーシートを書くときに生成Aiに頼りっぱなしだったら、自分の書いた文章のことなのにうまく答えることができないかもしれない。そうなったら、面接官の印象がよくないだろう。
結局のところ、生成AIを使おうが使わまいが、自分が責任をもって文章を書くこと、そのためには読者が何を求めていて、そのために自分が何を書くべきか、しっかりと見定める必要があるということに変わりはないのだ。