クリエイターの矜持ってもんがある

詩乃 / shino
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久しぶりに、丸一日かかる撮影の仕事で現場に入らせてもらった。とあるイベント撮影で、まあまあ顔馴染みの人も多く、個人的には楽しみな仕事のひとつだった。

前日からガチガチに機材を準備して、当日は9時半入り、19時半解散となかなかハードなスケジュール。150名規模のイベントであるうえ、会場が分かれたりするけれどもスチール担当は自分のみと、しびれる体制だった。

こういう仕事を経て、いつも思うのは、抱える疲労感が大きいはずなのに必ずランナーズハイを迎えてしまうという謎現象についてだ。前日までは不安があったり緊張もあるはずなのに、いざ現場に入ってしまうと、そんなのどうでもよくなるくらい夢中になるのだ。

実際、9時半に現場に入り、リハーサルやイベント本番をこなし、10時間以上稼働していたはずなのに、その自覚はまったくない。時間感覚もないし、ずっとゾーンに入っていたような感覚なのだ。夢中でファインダーを覗いていたような状態だったのだろう。

わたしはずっと、クリエイターでありビジネスマンであると自分のことを認識していた。バランスが悪くないほうだと思っていたのだ。

けれども、最近思うにそれはきっと偽りだ。本来の自分は圧倒的にクリエイターで、ものづくりに全振りしたい人間なのだろう。大人の事情? お金の話? そんなん知らんわ黙っとれ、と思うのが素であるらしい。

思っているよりもわがままで、思っているよりもいいものを作りたい意思が強い。そして、そういうモードに入った自分は結構厄介だ。

もちろんそのスタンスには良し悪しがあるが、現時点ではそういう自分のことを結構好きでいられているわたしがいる。クリエイティブに携わる人間としての矜持があるのならば、そういう思想は忘れずに持ち続けていたい。今のわたしはそんなことを思っている。

背伸びして大人になることなんてやめて、いいものをつくるためにひたすら邁進せよ。それでこそクリエイターなのだから。そういう強気なスタンスで、しばらくの日々を過ごしていきたい心持ちだ。

@shino74_811
暮らしが好きな旅の人。属性は編集者。もっとも気を抜いて文章を書いている場所なので大した期待はしないでください。