仮通夜と称される、告別式の前日準備に出向いた。仮通夜で行うのは湯灌(ゆかん)と納棺式。
湯灌とは、故人を最後のお風呂に入れる時間をさす。これを設けることで、現世での苦労や苦しみを労い、健やかに死後の旅へと赴いてもらう目的があるそうだ。
その後、納棺式を執りおこなった。はじめて納棺に立ち会って知ったのだが、棺に故人を入れる際、棺には畳を敷くのだそう。棺に直接眠っているのかと思っていたため、日本人らしく畳の上で眠れることに少しだけ安堵した。
さて、その畳の話なんだが、今回用意されているそれは、ひっくり返すとメッセージが書けるような色紙のコーナーが設けられているものだった。
葬儀場によってその仕組みはさまざまだそうだが、今回お世話になったところではそういった畳を用意いただいており、せっかくなので家族みんなで祖父へのメッセージを書いてきた。

もともとわたしは、棺に入れるためにと祖父へ宛てた手紙を書いてきていたが、改めてメッセージを綴れるっていうのはとてもありがたい。書けば書くだけ涙が溢れそうになるが、家族みんなで送り出す時間をつくってくれる、その思いやりにも感動したのだった。
納棺式は、正直見ているのもつらいほど、さまざまな感情が湧いてくるものだった。けれども、見なければ、見送らなければという強い使命感が、今日も自分を奮い立たせてくれている。
明日は、最後の最後の別れの日。はたして、自分が正気でいられるのかはわからないが、できる限りのことをして、朗らかに見送りたいと心から思っている。