人と話していると、よく「サウナは思考をクリアにしてくれる」だなんて言われることがある。詳しく聞いてみると、サウナという環境においては「熱い」以外の感情が湧かず、雑念が入らないからとのことだ。
そういう、雑念をとめるという目的のもと、わたしもちょこちょこサウナを訪れている。サウナ、水風呂、外気浴のルーティーンを三度くらいこなした暁には、すっきりとした気持ちでいられるだろうと思ってのことだ。
結論、だいたい思考の量が増えるだけ増えて終わる。残念ながら。
整えていないわけではないのだ。身体としては十分すぎるくらいに血行よく、いい感じに循環している感覚になる。けれども、脳内はなにかしらを考えてフル回転してしまう。
なにを考えているのか、それは日によってまちまちだ。抱えている仕事のこともあるし、今後のキャリアや人生について考えることもあるし、サウナそのものについて考えていることもある。
いずれにしても、なにかこたえのないタイプの問いを自分自身に語りかけ、それについて思案し、解の有無はさておき考え続けるかたちで時間を過ごしているのだから不思議なもので。
サウナに入る前に抱いていた眠気なんかが覚めてほしいみたいな思いもあるのに、思考しすぎているからか、サウナを出る頃にはむしろ眠すぎることもある。なんなら、今日もそうだった。
わたしにとっての理想のサウナは、楽しんでいるその時間、思考することがなくなり、ただ目下の時間を淡々と過ごせるようなものだ。
たとえるなら、キャンプに出かけて火を眺めているときとか、冬の夜にベランダで星を眺めているときの感覚とか。そういうものに近いだろう。
頭の中をからっぽにするという営みがどうにもこうにもヘタクソな属性は、デフォルトで疲れている。自分らしいリセット方法で、上手に思考に停止命令をかけられるようになりたいと切に願う最近なのであった。