とあるお仕事で、一人の人間の話をめっちゃ聴くという時間をもらっている。詳細はそのうち公開されたら話せると思うのでさわりだけになってしまうが、計12時間のインタビューを一人に対して行うという、わたし個人としては異例の経験をさせてもらっている。
よく世の中で見かけるような1本あたり4,000文字程度の原稿は、だいたいの場合取材時間が1〜1.5時間程度だ。それでも実はカットする話があるくらい、案外人間は1時間もあると人の話を結構聴けることに気付く。
それの、12倍の時間をかけて行うインタビューは凄まじい。話題に上るトピックはもちろん多いし、その人を深く深く知れる機会にもなるので、正直めちゃくちゃ楽しい。
わたしはライターだし、文章を書くことを生業としているけれど、文章を書くのに一番大切なのは、なにを書けるのか、の要素を集める作業だと思う。エッセイなら内省だし、論文ならソースとなり得る実験結果や参考資料。取材記事なら、インタビューがそれにあたる。
インタビューのうまいライターは、総じていい原稿を書くのだろうなと思うし、わたしもそうでありたいなと切に願っているしで。
わたし自身がインタビューのうまいライターかという話は自身で判断できないのでいずれ誰かに聞いてみようとは思っているところだが、兎にも角にもわたしは人の話を聴くのが大好きモンスターではある。
というか、今回のインタビュー耐久を経験して、「こんなに好きなのか」と気づいたのだ。一向に飽きない、永遠にできると思えるほどに、人の話を深掘りするのは、わたしにとっては楽しい作業だった。
まあたぶん、誰の話を聴いているのか、も重要だと思うので一概には言えないが。
ただ、ライターにも一定数「文章を書くのは好きだけど、インタビューや取材はあんまり得意じゃない。緊張しちゃう」という人はいて、わたしはそうではない人間らしく、強みになっているといいな〜と思ったのだった。
インタビューの原稿をつくる場合ではなくても、必要に応じて有識者にインタビューをする機会っていうのはこの仕事においてよくあるものだし、どれだけ話を引き出せるのか、さまざまな角度からトピックを見つめられるのかは、インタビュアーの裁量次第で大きく変わる。
そう思うと、この文章仕事の本質は、書くというアウトプット以上に、聴くというインプットにこそあるのかもしれない。そんなことを考えるばかりだ。
はてさて、12時間インタビューも、今日でちょうど折り返し。まだまだ聴き足りないことばかりなので、前のめりに、好奇心のままに、話を聴く時間をもらおうと思っている。