容赦のない、月80本、執筆まつり

詩乃 / shino
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根本的に忙しいアピールがきらいだ。するのも、されるのも、好きではない。黙って淡々とやりきれる人間が好きだから。

そう格好をつけているが、今月はさすがに限界を越えようとしている。というか、越えかかっている、というか、すでに何回か越えている。

その理由はシンプルで、予定していた大きな仕事が1月から2月にズレ込んでおり、2月に進める予定だった仕事は予定がズレずに鎮座しているため。要するに、わたしの取材・執筆仕事のすべてが今月に重なり尽くしているわけである。

ゆえに大執筆まつり、開催中。某通販サイトのブラックフライデーやお買い物マラソンたちもびっくりするような繁忙期であろう。本当にありがたい話である。

締め切りが続く感覚は、決してラクじゃない。どちらかというと恐怖だ。終わりの見えないマラソンを走っている感覚に陥り、途方もなくなったり、気持ち的にすごくナーバスになるときもある。

ただ、やっぱりわたしは執筆という仕事がどうにも好きらしい。書けば書くだけ筆が乗る感覚はやっぱりあるし、書ける限り書いていたいとも思う。

正直、これだけの本数を書いてもなお、自分の中に「文章を書きたい」という感情が生まれるとは思っていなかった。おなかいっぱいだからと叫ぶのかと想像していたが、どちらかというと「自分、もっとやれます!」の感想。

「好きなことを仕事にする」というより、「続けていて苦ではないことを仕事にする」がヘルシーに働けるだろうなと思う昨今、とはいえ「容赦のない好きが、苦を乗り越えさせる」も真理だなと思うから、不思議なものである。

そして、たぶん文筆業をはじめたばかりの頃は、ここまで文章が好きではなかった気がする。人よりは好きだったと思うけれど、続けるのは苦しかったし、執筆体力も今より少なかった。執筆とは、精神力と体力勝負の営みなのでね……。

今の自分を見ていると、8年継続したことで加速した「好き」があるように思えるし、やっぱり何周回っても書くことで生きていたいのだと気づく。それが叶えられる環境に対する感謝を常に持ちつつ、この容赦ないマラソンを走りきるため、今は鬼のような形相で働いているのであった。

……がんばります。

@shino74_811
暮らしが好きな旅の人。属性は編集者。もっとも気を抜いて文章を書いている場所なので大した期待はしないでください。