美しさの背景にあるもの

詩乃 / shino
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公開:2023/12/17

旭川に来ている。北海道はたぶん16〜17回ほど訪れているけれども、旭川空港に降り立ったのははじめてのことで、とても楽しみにしていた。

最近はとくに落ち込むことが多い日ばかりだったから、感情をリセットできる旅の時間を大切にしたいと思って、ちょっと体力的には無理をしたけれど移動することに決めたのだ。

旭川は雪の多い地域だと聞いていた。街には「極寒のまち、旭川」だなんて触れ書きが書いてあったりするので、暮らす人々もまた旭川という土地の特徴をそう捉えているのだろう。

今日、旭川空港に到着したのち、美瑛の拓真館というギャラリーを訪れた。風景写真家・前田真三さんが開設したギャラリーで、その孫の景さんたちの撮影した写真なんかも展示されている。

今回は「COLORS OF THE SNOW」と題した展示が行われており、美瑛の美しすぎる雪景色を中心とした写真と、数多出会うことができた。息をのむような凛とした美しさが心のなかに流れこみ、たまらなくなった。冬の北海道の魅力は計り知れない。

また、北海道を好きになる理由ができてしまったなあと、満足気で帰路についた。

旭川市内に戻りはじめた頃、あたりは暴風雪警報が発令されており、ものすごい吹雪だった。あたりを案内してくれていた友人(旭川の出身であり、日頃から道内のあちらこちらを取材している)ですら、「こんなに大変な運転ははじめてだなあ」と漏らすほど。

道が見えないのはもちろんのこと、吹雪が車の窓に打ちつけられるような状況で、前進するとかそんな状態ではもはやない。対向車の光やら、かすかに見える電光板などを頼りに運転を続けるしかなかった。追突や転落が頭をよぎり、とてもこわかった。

慎重に運転してくれた友人のおかげでなんてことなく宿に到着することはできたが、さきほどまで思っていた「北海道の冬は美しい」という感情は、浅はかだったなと思うに至る。

もちろん、北海道の冬が美しいことは事実だ。けれどもそれは、雪が持つ恐ろしさも同様に理解したうえでこそ、思えるものなのかもしれなち。

単に、なかなか見たことがないからとか、サラサラしていて綺麗だからとか、真っ白で澄んでいるからとか、そんな理由だけで好きだとか言っていると、たぶん今度は雪の恐ろしさにしてやられるから。

私たちが美しいと思える雪景色は、あくまで日頃から雪と向き合い、生活してきてくれている道内の人々の努力あってこそ出会えるものなのだろう。

北海道の冬を美しいと思い続けるために、そうでない一面にも理解を深めたいと思った、はじめての吹雪記念日であった。

@shino74_811
暮らしが好きな旅の人。属性は編集者。もっとも気を抜いて文章を書いている場所なので大した期待はしないでください。