黄金レガシーメインクエストコンプリートしたのでシナリオの流れに触れつつネタバレ感想

しの/ゆき
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黄金リリースおめでとうございます!一回メインクエストに手を出すと気になって仕事どころではなくなるので、1日は有休にして一気にやってしまおうと思いアーリー開始からひたすらメインを走りました。対応してるものはコンサポ利用してワイプしまくりながら7.0完了です。後半のIDわけわかめで泣いちゃった

いつものつづくを見れて安心しました。ヒカセンの旅はまだまだ終わりを迎えないということなので。ということでこの記事は覚えてる限りの7.0感想文です。ネタバレ全開なのでグラフィックスアップデート後の自機を挟んで行きます。とても美人です。

前半はトラル大陸における支配王国トライヨラ連王国現連王グルージャジャの次代の王を決めるための継承の儀が行われるため、その参加者の一人であるウクラマトから助力を請われヒカセンと多部族国家を学びガレマール帝国復興に活かしたいアルフィノアリゼー、グルージャジャから祖父ガラフに宛てられた黄金郷調査の手紙を見つけたクルル、そしてトラル大陸出身のグリーナーエレンヴィルの一団はオールドシャーレアンからトラル大陸へ出発。その最中大きな嵐に見舞われながらも無事にトライヨラに到着し継承の儀に参加することに。継承の儀の目標はトラル大陸各地にいる部族を訪ね連王の選者に認められながら黄金郷の扉を見つけ出せというもの。奇しくもその黄金郷の扉捜索はエレンヴィルが母親であり師匠のカフキワから課された課題と同じ。王となるために一団は協力しながら選者からの課題をクリアしていくことに……というのが前半戦の流れである。

前半戦を通しての感想はコーナウクラマト兄妹の成長が感じられるものだったなと。ウクラマトはトライヨラに住んでるだけでトラル大陸すべてを知ったつもりでいた。けれど彼女が生きていた世界はトライヨラだけの狭い世界で各地の部族の生き方や考え、想いを知ることによってトラル大陸をもっともっと好きになりこの地に生きる人々のために、彼らの笑顔を護れる王になることを強く決意していた。コーナは最初無愛想だなと正直思っていたけど、ただそれは不器用なだけで本当はとても感情豊かでウクラマトのことが大好きな優しい兄だった。というか最早シスコン……()時にぶつかりあい、時に協力をして彼らは課題をクリアして行く。しかし途中で大きな問題が起きる。ヨカフイ族の地で生きる天災とされるヴァリガルマンダが継承の儀参加者バクージャジャによって復活してしまう。ここはなんとバクージャジャ陣営以外の参加者全員で討滅戦ができて楽しかった。三兄妹とその協力者で脅威を退ける姿はきっとこの国理想の姿なのだろう。戦を得意とするゾラージャ、知力で周囲を支えるコーナ、そして民を導き支えとなるウクラマト。この3人が揃って国を治めるならトライヨラ連王国は安泰だろうと思えたが彼らは王位を争っている。協力関係はその場のみだったのが少し残念だった。もちろん彼らみんなが譲れないものを持っている。だから継承の儀は続いていく。途中クルルはウクラマトに対して「聞いて、見て、考えて」と言う場面があるがその通りウクラマトはトラル大陸を旅する中で自分の耳で聞いて、自分の目で見て、自分の頭で考えて王の器として成長していくのだ。

この継承の儀の最後の選者はマムージャ族の村、マムークにいた。彼はバクージャジャの父親であり双血の教えの信奉者だ。だからバクージャジャ以外を認めることはないとすら言う始末。だがその実、バクージャジャは今まで散々参加者を罵倒し妨害していながら必要なものを集めることができていなかった。その姿を見た父親はバクージャジャを失敗作と罵る。この直前、ゾラージャがグルージャジャの幻影を倒す試練を受け失敗どころか失格とすらなっている中コーナとウクラマトはまずマムージャ、そして双血の教えを知ることから始めようとした。彼らが縋っている双血の教えとは何なのか、双頭とは何なのか、マムージャ族は何を求めているのか。トライヨラを出たばかりのウクラマトならバクージャジャに散々嫌がらせや妨害を受けていたこともあり素直な気持ちで知ることができなかったんじゃないかと思う。コーナも持ち前の知識で問題 だけ を解決して相手を知ろうとしなかったと思う。彼らが学んだのは、知ろうとしたのは同じ国に住まう人たちなのだから。バクージャジャの執拗な嫌がらせの理由も双血の教えという呪いにも等しいものが根底にあることも知ろうとしなければ知ることができなかったはず。

最後まで試練を超えられたのはウクラマトだけだった。コーナはウクラマトを王にするために最終試練を棄権し彼女に加勢、ゾラージャは失格、バクージャジャはそもそも受ける資格がなかったから。全ての秘石を集めた彼女がやることはただ一つ。黄金郷の扉を見つけること。マムークがあるヤクテル樹海には昔石切をしていた多くのヨカフイ族が黄金郷の夢を見たとかガラフが訪れていたということがあり、扉は確実にヤクテル樹海にあると推測されていた。そしてマムージャ族も見たことがないという双血の教えの犠牲となった子どもたちの慰霊堂がある天深きセノーテの最奥が最有力候補になり一団は向かい、黄金郷の扉を見つけたのだ。かくして民を愛して仲間を信じて進んだウクラマトはウクラマト王になったのである。

ウクラマトはヒカセンを国の要職に就かせたいとか言い出すけどそんなのよりコーナと連王を務めたら良いのにとずっと思っていた。武王ウクラマトと理王コーナは理想の国を創ってくれると思っていたから。その私の思い通り、ウクラマトはコーナを理王に選び連王政を敷くことを宣言した。ああ、よかったと思った。きっとこの2人ならトライヨラを父王グルージャジャ以上にいい国にしてくれると思った。彼らは国を知り、民を知り、民を護ることを選んだのだから。

さてここまでが前半戦である。ヒカセンが継承の儀の助力というトラル大陸に訪れた目的は達成された。あとは何があるかと言えば、継承の儀では行かなかったトラル大陸北側サカ・トラルへの冒険だ。王になったら通行証なんていくらでも発行するという約束を守ったウクラマトから通行証をもらお、サカ・トラルに故郷があるエレンヴィルと共に新たな冒険の幕開けとなる。同行していたクルルとアルフィノアリゼーはトライヨラに残るということなので二人旅となった。

列車に乗っていくということになったが、立ち寄る町で事件に巻き込まれたり地震の影響で止まっている列車の復旧を手伝ったりと相変わらずヒカセンは色んなことに巻き込まれるなあとにこやかに進んでいた。のもここまでだった。復旧した列車が向かった先、そしてエレンヴィルの故郷がある先に突如現れた巨大なドームがヒカセンの気ままな冒険が終わりを告げた。ここから一気に話が切り替わったよほんと……。ドームからは謎の軍団が現れてヒカセンたちはトライヨラへ取って返すことになるわトライヨラは襲撃で大混乱だわ……混乱の中、街中で見かけたメインビジュアルの少女の存在が印象的だった。その上謎の軍団を率いていたのは行方不明だってゾラージャで謎の技術と装備でグルージャジャを殺害した。黄金郷の扉を「鍵」で開いたところを見ていたからいずれはこうなるだろうと思っていたけど、偉大な連王であり兄妹にとって最高の父親だったグルージャジャの死で彼らの家族関係は終わってしまった。最悪の形で。

ドーム調査のためにサンクレッドとウリエンジェを除く暁のメンバーが久々に集結。トレーラーでラハくんがタコス食べてトライヨラを満喫してたっぽいのに、呼ばれた理由がそんなんじゃなくてかわいそう()サンクレッドとウリエンジェはたぶんどっかで観光でもしてんだろと思ってたらそうだった(後に判明)。突入するために基地に突っ込ませる列車が某鋼の錬金術師を思い起こすセンスだったのは置いといて最高の材料と最高の技術で作る最高の爆弾列車って何であんなにもテンション上がるんだろうね?猛スピードで突撃して爆発四散させる姿にはロマンを感じた。私の中身は小学生なので……

ドームの中に突入したヒカセンたちの目の前に拡がる光景は故郷であるエレンヴィルすら知らないところだった。FF10を知ってる人ならきっと雷平原だと思ったはず。私も思った。そこら中に雷が落ちている中、列車の駅に向かうと明らかに朽ち果てた様子。ほんの数年どころではなく数十年以上は経過しているレベルで。その光景を見て真っ先にクリスタルタワーと第一世界の時間のズレの話を思い出した。発生規模が比ではないけどエレンヴィルの故郷の村も廃墟になっていて生存者がいるかどうかすらわからない。いつもあの冷静な彼がドーム出現から取り乱していることが言い方は悪いけど新鮮だった。唯一の肉親が行方不明なんだから当たり前の話なのだけど。

ここで呆然としている一行の前にある人物が現れた。メインビジュアルにいた少女である。彼女は新生アレクサンドリア王国理王スフェーンと名乗り、武王ウクラマト相手に非常に友好的態度を見せた。さらにこの近くの町を案内するといい、雷との関係や町や生活を丁寧に説明してくれる。あまりにも友好的過ぎて正直気味が悪かった。本心がわからなさすぎて。さらに彼女はエレンヴィルの母親カフキワに会いたいならと行方のヒントすらくれる始末。結局彼女には直接会えず謎の機械?を介して会話ができるだけになったが彼女がいる組織とも協力関係を結ぶことに。

外界との時の流れを否応なしに感じる場面は他にもあった。ドームの出現に巻き込まれた列車に乗っていたウクラマトの乳母ナミーヤの存在だ。彼女の姿はヒカセンと別れてから随分年老いていた。しかも彼女はそろそろお迎えが近いという。ウクラマトのことも分からなくなっておりそのまま塔の中にある医療施設とやらへと行ってしまった。その後、非常に不可解なことが起きる。住人全てがナミーヤのことを忘れてしまったのだ。まとめ役曰く「雲の上に預けられた」とのこと。薄気味悪さしかない。ただそれはこのドーム内で生きる人たちにとって当たり前のこと。命に対しての考え方が内外で大きく違った。

スフェーンの計らいで塔の中にあるソリューションナインに入ってからも命のあり方について触れることがあった。魂のストックというシステムが新生アレクサンドリア王国にはあり、何でも亡くなった人の魂を回収して他の人が不慮の事故で亡くならないように予備として利用するということらしい。そのストックがもうないのにもらえない、どうにかしてくれとスフェーンに縋り付く若者に出会う。彼はアルカディアの闘士だったが今は武王ゾラージャの方針で休止しており呑んだくれていたからストックが得られなかったらしい。もちろんスフェーンも彼だけを特別扱いするわけにはいかずごめんねと謝るだけ。当たり前のように他人の魂を使って死を避けるための保険を欲しがる感覚が私たちが持っている死生観とは乖離していて違和感を覚えざるを得なかった。何だよ魂のストックって……こえーよ……

後半に入るとテーマが様変わりしたように思う。前半戦は人間の成長、そして後半はそれを踏まえて家族、そして命のあり方だと思った。人はいつか死ぬ。生き物も同様。それが私たちの感覚だが新生アレクサンドリア王国に生きる人たちは技術によって限りなく死から遠ざけられていた。それが正しい姿なのかと問われればアレクサンドリアの人たちはそうだと言うだろう。それが彼らにとっての命のあり方だから。そして国民全てがウクラマトにとってもスフェーンにとっても家族なのだ。だから彼らのためなら何でもするのである。新生アレクサンドリア王国がトライヨラ連王国に侵攻した真の理由はゾラージャの独断ではなく、スフェーンの願いでもありその目的は亡くなった人の記憶から創り出されたデータのような存在である永久人を維持するエネルギー(=エーテル)を外部に求めたから。すでに死して特定の環境の中でしか存在できない永久人も生きた人間、大事な国民であり家族として扱うスフェーンもまた永久人。彼らを護るためならとスフェーンはウクラマトの手を取ることなく交渉は決裂する。その上、痺れを切らしたゾラージャはトライヨラへ再侵攻を決めた。トライヨラは理王コーナと残った暁のメンバーで防衛体制を急ピッチで整えていたものの、ぎりぎり間に合うかどうかのライン。地上戦はともかく制空権は、となったところで飛来するドラゴンの姿に私は非常にテンションが上がった。どうやらエスティニアンやアルフィノが仲介しラザハンとトライヨラの国交樹立をスムーズに成し遂げたとのこと。Endwalkerが流れる中ヴリトラが圧倒的な戦力を見せ周囲を一掃していく。光の戦士がヴリトラの願いを聞きヴォイドから助け出したアジュダヤの姿もあり、光の戦士たちが創ってきた軌跡が新たな繋がりを生み出したのだと思うと暁のみんなと進んできた道は大きな意味があったのだと思う。

空はヴリトラが抑え地上もトライヨラ側が奮戦している以上、新生アレクサンドリア王国が付け入る隙がない。勝ち目がないと判断したゾラージャは今度は自国の民を攻撃し魂の回収に踏み切る。これは王として決してやってはならないことだった。王は民を護るもの。その前提から乖離した行動は一行、特にウクラマトを激怒させスフェーンは約束が違うと悲鳴を上げた。ソリューションナインの住人を救助する中、ゾラージャの息子であるグルージャの理解者のオーティスを失いながらも一行はゾラージャを追い、ヒトが受け入れられる魂の許容量を大幅にオーバーし異形となった彼を塔の上層で追い詰め討伐した。ゾラージャは死に際に「父から何も残されなかった自分が父親になれるはずがない。だが自分が勝ち得たものは置いていく」とグルージャに言い遺す。ゾラージャはグルージャジャ、そしてコーナとウクラマトに対してコンプレックスがあったのだろうと察した。ゾラージャは生まれるはずがないとされてきた双頭の子、奇跡の子と讃えられてきた。そして武王グルージャジャの子として軍を率いて彼を凌ぐ実力もあるのではと言われていた。しかし彼との唯一の共闘場面だったヴァリガルマンダ戦のあとは「あれは全盛期ではない」、マムークの村では全盛期の父の幻影に敗れグルージャジャを弑したところですら「老いさばらえたか」。そして死に際の「父から何も残されなかった」。ゾラージャには常に奇跡の子という重圧が伸し掛かっていたのだろう。ヴァリガルマンダを討伐したときコーナとウクラマトはみんなで協力したらヴァリガルマンダだって倒せると、グルージャジャの平和と協調を愛する心を正しく受け継いでいた。きっとゾラージャは幼少期から周りから奇跡の子だの何だの言われ続けそれを実現するように生きてきたのだろう。それがコンプレックスとなり、プレッシャーとなり、誰にも打ち明けることもできず道を踏み外した。もし彼が幻影を倒していても「所詮幻影だから意味がない」と言ってたんじゃないかと思う。グルージャジャの心を受け継いだ義弟妹に対して羨望すらあったのかもしれない。言葉にすることはついぞなかったけれど。

さて、目下の問題だったゾラージャは討ち取られた。もう争うことはない、となっていたところにスフェーンが現れる。話し合い、手を取り合えばいいというウクラマトに対してもう手遅れだとスフェーンは言った。死したゾラージャから転がり落ちたアーティファクト(黄金郷の鍵)と共に彼女は上空に開いていた穴の中へ姿を消し、同時にロボットを遠隔操作しその場に同行していたカフキワの意思も消失する。一行とともにいて反組織のリーダー格だったカフキワだったが、この襲撃事件の直前にエレンヴィルは同郷の人間が誰もカフキワを覚えていないという不可解な現象に遭遇していた。「死んだ人間の記憶は雲の上に預けられる」。つまりカフキワもまた永久人となっていたのだ。事実を知っていたのは組織の人間、スフェーンと限られていてカフキワ自身も葛藤していたようだ。そりゃ息子に自分はすでに死んでて記憶で構成される存在になってますなんて簡単に言える訳が無い。スフェーンが姿を消したと同時にカフキワの意識がロストしたところを見るとスフェーンが向かった先に永久人たちがいる世界、鏡像世界のどこかなのだろうが行く術がないことにぶち当たる。唯一の道であろうセノーテ最奥の扉は閉じたままだ。しかしここで可能性としてクルルの耳飾りが挙げられた。クルルはガラフ・バルデシオンが以前黄金郷の調査に訪れた際、扉から現れたララフェル族(ミララ族)の夫婦と見られる二人から預けられた子で一緒に鍵と耳飾りがあったという。その耳飾りにはコードが仕込まれていて使えるところとしたら扉しかないからということだった。実際に向かって耳飾りを使うと反応はするが扉は開かない。どうやら上位権限によって開かないようで、その権限はゾラージャの息子であるグルージャに託されていた。ゾラージャが死に際に遺した「勝ち得たもの」は新生アレクサンドリア王国武王としての権限で、父親になれる訳が無いと言っていた彼がグルージャのためにした唯一が形として現れた瞬間だった。グルージャを捨てお前は用済みだと突き放したゾラージャでも我が子を手に掛けるようなことはしなかった。ウクラマトをラマチと愛称で呼んだゾラージャにも家族の情はあった。ただプレッシャーとコンプレックス、そして自己肯定感の低さがゾラージャを歪めてしまった。もし近くにいる人間がゾラージャを奇跡の子だと讃えるだけでなく諌めるような行動をしていたらこんな結末にはならなかったのかもしれない。サレージャは黄金郷の扉を開くことが目的だったようだけどある意味最大の戦犯の可能性すらある。ゾラージャが求めていたのは父の背中に追いつき認められること。サレージャのようなタイプは毒にしかならなかったのである。

グルージャのおかげで開いた扉の向こうへ行くのはウクラマト、ラハ、クルル、そして光の戦士の4人。残りは不測の事態に備えてセノーテに残ることに。唯一アリゼーだけは不服そうにしていたのは切り札としての光の戦士が背負うものが増える事態を心配していてのことだった。かわいいね。天の果てまで行きアーテリスの終焉を文字通り命懸けで救った英雄にはこれ以上抱えるものが増えてほしくない、それこそ「あの人ばかりに戦わせる訳にはいかない」のは今でもアリゼーの内にあった。嬉しい(個人的な感想)。万が一扉が閉まったときの保険としてラハは突入組になった訳だけど、ラハが残ることになったらきっとアリゼーが付いていくってなったんだろうなと思う。ヒーラー赤魔……(既にコンサポで経験済み)(プレイヤーがDPSだったので)。話がそれた。永久人だけの扉の向こうをアンロストワールドと名付け4人が扉を通ったあとに見たものは光り輝く美しい街並み、道行く人々が何の憂いもなく幸せそうに歩く黄金郷だった。ヨカフイ族が夢に見た光景はまさにこれだったのだろう。永久人となったばかりの人のための案内役が丁寧にスフェーンの居場所を教えてくれてそこへ向かうもやはりスフェーンの意思は固く、それどころか「優しい記憶は全て消して永久人が生きるのためのシステムになる」と説得は失敗する。どうするか悩む一行に聞き覚えのある声が聞こえた。そう、永久人となっていたカフキワだ。彼女は4つのエリアそれぞれにあるターミナルの電源を落としここに生きる人たちを終わらせることを一行に頼み、それぞれのエリアの案内役を務めることに。ここでもウクラマトはまず相手を知ることを選んだ。いわばデータだけの存在になってしまった彼らを知ることも義務だと。行く先々で見知った顔にも出会った。別れてから随分年老いていたナミーヤに王国騎士団長のオーティス。そしてクルルの実の両親。それぞれで家族の姿を見せてもらったように思う。ウクラマトとナミーヤは王女と乳母の関係でも一番近くにいた2人。グルージャジャが父親ならナミーヤは彼女にとっての母親だろう。オーティスはスフェーンだけでなく国民も守るべき家族のように接していた。クルルの両親に至っては最早当然のこと。彼女の出生にまつわる話から長い時間と世界の壁を乗り越えて再会できた。味のないアイスはきっと一生で一番美味しかったと言えるものになったはずである。

最後のターミナルにはカフキワのデータがあり、彼女のガイドも終わりを迎える。エレンヴィルはカフキワから終わらせてほしいと言われてから、むしろ彼女が永久人だと判明してからずっと葛藤していたように思う。無理もない話だが。ただ彼女から自分ですら知らないものをもっと見て、いつか教えてほしいと願いを託しシャットダウンを促す。エレンヴィルは暁月から登場しているが冷静沈着で感情を表に出さないタイプだった。だがトラル大陸に来てこの方、特に継承の儀以降は感情を露わにする場面を多く見た。たいていはカフキワが関わっている場面でだ。言葉にすることはなくとも家族である彼女をとても大事に想っている現れだろう。

全てのターミナルをシャットダウンしたあと、一行は残されたメインターミナルのシャットダウンへ挑む。メインターミナルをシャットダウンするということはスフェーンとの衝突は避けられないことだった。それでも一行は譲れないもののためにスフェーンと対峙することとなる。

さて、ここで光の戦士はアゼムのクリスタルの魔法を使うこととなる。ヴァリガルマンダもゾラージャも自分たちで戦っていたので黄金に入ってからは初めてのことだ。思えば光の戦士は黄金では「主人公」ではあるが「主役」ではなかった。あくまでも主役はウクラマトだったのだ。どちらかと言うと光の戦士の今回のポジションは保護者とか監督役、もしくはアドバイザー。そして物語の終い手。きっと今回のシナリオで物足りなさを感じている人たちはそこでひっかかっているのではないかと思う。今回の物語はウクラマトの物語であって光の戦士の物語ではない。あくまでも登場人物のひとりである。だから自分が出ればすぐさま解決したであろう場面ですら一歩引いて手を出すようなことはしなかった。バクージャジャとウクラマトが戦ったところとか最たる例だろう。心配しなくても手を出さないから安心しろビビり野郎という選択肢はウクラマトを見守ることを決めていたから出てきたものだ。常に見守る位置にいて必要なだけの手助けをし、世界の行く末を見ていく。これはヴェーネスから受け継いだアゼムとしての姿勢だと思う。ハイデリンとなり摩耗した魂は星海に還れなかった彼女の精神は光の戦士へと正しく受け継がれていた。そんな光の戦士が初めてアゼムのクリスタルの魔法を使いスフェーンへ「最後のシャットダウンだ」と告げる。自分の出る幕となったウクラマトとスフェーンの物語に幕引きをしにきたのだ。光の戦士は終焉から星を救った存在だ。暁月では人類の切り札だったが、今は一介の冒険者。6.xではクリスタルを多用していたが黄金ではこの時だけだったのは光の戦士の立ち位置が変わったから。英雄ではなく冒険者としての旅は新鮮で楽しかったと思う。新生で蛮神討伐をした時点で光の戦士は光の戦士としての道筋を歩んでいくことになり普通の冒険者ではない旅をしていくことになったのだから。10年越しに光の戦士は冒険者となったと言える。

こうして継承の儀を発端としたトラル大陸での旅は一旦終わりを迎えた。これから先まだしばらくトラル大陸での冒険が待ち受けているのだろう。黄金郷の扉の鍵は光の戦士へ預けられまだまだ何かがあるはずだとわくわくしてしまう。暁月が終わった時点でハイデリンとゾディアークの物語が終わり一種の喪失感のようなものがあったが、私は黄金は新たな始まりだと受け取っている。星の危機は去ったのだから冒険者らしい冒険がこれから待っているのだろう。

ちなみに私は宝石(天然石)が好きなのだが、スフェーンの名前がでた途端7月の誕生石だ、タイムリーだなと思った。石に入った光を分散させるファイア効果がダイヤモンドよりも強い石で、結晶が楔に見えることから別名楔石とも呼ばれるスフェーンの石言葉のひとつが「永久不変」なのは偶然じゃないよね吉田ァ!!?!!?!!石好きだからスフェーンが現れたときには思い至ってしまい嫌な予感がするぞこれはとなったんだよぉ……彼女の世界はその通りの世界だった。エネルギーさえ外部に求めず自力で賄えていたら何人にも侵されない平和な永久不変の美しい黄金郷を維持できたのだろう。

@shinoyuki
FF14のプレイ雑記メイン