Notionというアプリがある。
シンプルなテキストメモからデータベースまで、幅広いものを作成できる便利なアプリだ。
自由度が高くいろいろカスタマイズできる点が魅力的で、実際に仕事のマニュアルなどで使われていることも少なくない。
一時期このNotionにハマって、身の回りのすべてを記録しようとしたことがある。
日々の体調や家計簿、読書メモ、創作の作業記録などなど……
しかし、よくある体験談と同様、どれも続かなかった。
自由度が高いということは、何を設定するかはこちらの裁量次第ということである。
当然、事前に「このアプリで何を記録するのか」ということをちゃんと決めなければ、カスタマイズ地獄に放り出されることになる。
体調記録だったら、体重や服薬記録、基礎体温だけじゃなく、気分の上下やそれが創作の作業状況にどう影響するか関連付けて……などしていたら、一回でつける記録の量がとんでもないことになった。
何事も、継続するためにはハードルを極限まで低くすることが重要だ。レベルを上げるのは習慣化してからの話になる。
というわけで、普通に面倒になってやめた。本末転倒、哀れな話である。
こうしてライフログ完全デジタル化計画は白紙と化した。
体調管理はもともと使っていたアプリに出戻りし、服薬管理はiphoneのヘルスケアを活用している。
既存アプリのつまみ食いみたいな状態だが、私より格段に優秀なエンジニアの手によってつくられているので、そんなに不便は感じていない。文明の利器、圧倒的勝利。
ところがどっこい、家計簿だけはやはりどのアプリでも続かなかった。
これだけはどうしても原因がわからない。
お前は何を言っているんだと言われるかもしれないが、ただ嫌な気持ちになるからとしか言えない。
出費額を入力していると、貴様の罪の数を数えろと喉元にナイフを突き付けられている気分になるのだ。文明の利器、敗北。
しょうがないので、家計簿はデジタルとアナログで分けることにした。
収入管理はスプシにちまちま入力し、出費はセリアで買ってきた白紙のマンスリー手帳に日ごとに書き込むという具合だ。

当初は効率的じゃないな……と抵抗する気持ちがあったが、意外にもこれが続いている。
まず手帳という物があるので忘れることが少ない。
書くといっても「ゲーム課金:¥800」とかなので秒で終わる。手間が少ないのはいいことだ。隙間時間でできる。
あと、それなりに続けるとページや書き込んだ量が目で分かるので、「こんなに続いてる……!」と自己肯定感を積める。
(出費を書き込んでいる訳なので書き込まれただけマイナスなのだが、深く考えてはいけない。要は脳をだませるかどうかだ)
さらにこれは盲点だなと思ったのが、書き込むときに使ったときのことを思い出して、これはいい出費だった、これはちょっと浪費だったという振り返りになることだ。
なんか説教臭いなと思った人、待って、ちょっと待ってくれ、もうちょっと読んでって(必死)
考えてみると、払った金額を記録しているときは腰を据えてデスクに向かっているときで、それなりにゆったりした時間のはずだ。
支払った当時とはラグがあって、レシートなり領収メールなりを見返しているので、何に使ったんだったかな、と振り返る姿勢がこっちにできているのだ。
さながら日記を書いているときのように。
今日の買い物はいつもより使ったなと思っても、そういえば日用品の買い替えタイミングだったと思い直したり。
今日はちょっと気分が落ちがちだったから、ゲーム課金で取り返そうとしてたなと気づけたり。
結局説教臭い気がするが、何かと感情が先行するタイプの私には、結構合っている方法だ。
Notionを使いこなすことはできなかったが、創作のプロット作成だったりとりあえずメモしたいときは使っている。
タグ付けができて、あとで見返せるので、それこそアイデアメモや気分の記録に便利だ。
いろいろ手を出しても、自分にとって重要な部分はなんだかんだ紙とペンに戻ってくる。
効率化はもちろんいいことだが、あえて効率で埋め尽くさない余白も必要なのか……と思うなどした。