朝から予定が急遽なくなり、思い立ってスコーンを焼いた。ひとまず昨日洗った皿をぐっと奥に押しやる。「休日の朝スコーンを焼く。」という字面から感じる優雅さと現実の落差がすごい。
冷蔵庫に余っていたホットケーキは袋の半分くらい。ホットケーキミックスとバターを使うが牛乳を使わない、という冷蔵庫の中の条件に合うレシピがなかなか見つからずスマホをスクロールし続けた。この時に色々なレシピを見ながら1個ずつイメトレするので、もう勝手に作り飽きてたりする。旅行や服のネットショッピング然り、調べて満足するのは得意だ。行動力がないのではなく、安上りだと主張したい。
ようやく牛乳の代わりにヨーグルトを代用するレシピを見つけて、まず冷蔵庫から出したばかりのバターをサイコロ状に切る。その上にホットケーキミックスをドバっとかぶせる。うちには計量器がなく、私には正確さを追求する丁寧さとこだわりがない。思ったよりも生地が緩いように感じ、ヨーグルトの量を気持ち少なめにして代わりに小麦粉をスプーン1杯ほど入れる。レシピに書かれている「最初はべたべたすると思いますが、次第に手につかなくなりまとまります。」のような予言を信じ切れず、どんな料理でも不安になりアドリブを入れてしまう。でもそこから成功するか否かのオッズが一段と荒れ始める感じがして、ちょっと楽しくなってきたりする。冷静に考えると、本当はまじめにやって失敗するのが怖いだけなのかもしれない。口に入れるものに対して、「本気出してないから。」といういきりは全くもって不要だ。
焼く段階になりレシピに立ち返ると、「935wで…」とある。うちのオーブントースタの単位は℃だ。mmからcmへの換算はできるが、これは聞いてない。ただ恐らくそういう時は大体180℃でやればどうにかなる、と経験が無責任に物を言う。野球と縁遠く、バッドなんて握ったこともない状態でバッティングセンターに初めて行った時に友達に言われた「打てなくても当たればいいよ。」と一緒。慣れてないことは目標をぐっと下げるのがよい。焼ければいいのだ。初心者がおいしく良い色に焼くことを最初から目指してはいけない。多分色んな道の指導者に問うても、同じ回答が得られるだろう。レシピ、という優しすぎる補助があったとて変わらない、はず。
結果思ったより柔らかいが、焦げ目だけはいっちょ前についたスコーンが完成した。味も悪くないし、クロテッドクリーム替わりのヨーグルトと貰い物のあんずジャムを付けてもおいしかった。甘酸っぱさとバターの風味がよく合う。ホッカホカのスコーンを頬張り、満足感に浸りながらフガーっと鼻息を吐く。何とも優雅な朝だ、と思ったら11時前だった。
午後は彼とショッピングモールに併設された市の体育館くらい広い本屋さんに行った。漫画や小説、レシピ本、参考書、看護学生のための腸の病気解説本など30分ほどかけて見て回った。頭がよくなった気になった。読みたいと思っていた本を手に取り、彼に読みたかったんだアピールをするのはもうやめたい。結局読みたかった文庫のエッセイを購入して帰宅。