5月4日 1階にカフェがある家に住んでいた

詩走
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今日は前々から計画していたルートで、1万歩を目標に去年まで住んでいたエリアを散歩する。そんな日に限って腹の立つほどの猛暑。前シーズンに新調した日傘は微風が吹くだけでひっくり返る癖があったので処分。代わりにでっかい帽子をかぶってサングラスをして外へ。お店のガラスに映る自分が野外フェスを一時抜けしてきたやつみたいで焦る。

まずは昔行ったことがあるが、住んでた時は完全に存在を忘れていた公園へ。日陰で寛ぎながら知らない誰かの話題で持ちきりのマダム達や、バドミントンで遊ぶ初々しい学生カップルであろう2人を横目にただ歩く。水辺と木陰の散歩道が気持ちいい。家の近所にあったら散歩も捗るし読書もできて最高なのに、と思う。まあまあ近かったのに。そういうもん。

そこから住んでいた家まで歩く。15分以上の徒歩移動を覚悟する時は、ダウンロードしておいたポッドキャストを聴く。特に「ダイアンのTOKYO STYLE」と「味の副音声」はすべての回を自動ダウンロードしている。PMSで心が揺らいだ時や仕事中お耳だけ暇な時など、私にとってどのコンディションでも楽しく聞けるコンテンツなのだ。今日は「ダイアンのTOKYO STYLE」をお供にする、途中人がいないことを確認して吹き出した。

私の以前住んでたマンションの1階にはカフェが入っていたので、そこでランチをとる。ただぼーっと見に行く未練がましいことをする訳ではない。住宅街の一角にあるこじんまりしたお店だが、ご近所さんと思わしき人で賑わっていた。いつも平日のテレワークの日など、人が作った飯が恋しくなった時にたまに利用していたことを思い出す。住人用の出入り口があり、ちょっとした優越感に浸れるのも魅力的。帰りにレジ横のクッキーを買うと店員さんが「私も好きなのよ。」と声をかけてくれた。つい最近まで上に住んでたことを伝えると、会計後「また帰ってきてね~!」と手を振ってくれた。その時の私は相当嬉しそうに笑ってたと思う。

この家にはそのまた前に住んでいたマンションの契約更新のタイミングで越してきた。彼からは同棲を提案されたが、この家を見つけて1年だけ猶予が欲しいと言って無理やり住み始めた。内覧に行った時、1面だけ蔦が這うようなデザインの壁紙も大きすぎる窓も何もかも独り占めしたいと思ってしまったのだ。家賃は少々張るが、1年間と決めていたので住まない理由にはならなかった。今日店員さんと話してこの家に住んだのは紛れもなく良い決断だったと確信した。もし万が一私が1人ぼっちになることがあれば、もう一度あの家で生活がしたいとさえ思う。

私の住んでいた部屋のベランダには植物がたくさん置いてあった。私はそこで1年間で2つ観葉植物を枯らしたので安心した。私の影が跡形もなくなっていた。