塔3月号 食べると死ぬ

書架 青と緑
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  食べると死ぬ

これまでの無くしたことを憶えてるものと無くして忘れたものと

梔子の蕾の螺旋の構造すらあの日は永遠の比喩だった

さざんかがさんざん咲いている庭でさめざめないてる夢 さめなさい

てのひらに海を掬っているだけだ言葉とはひえきった手だろう

電気毛布がいつも暑くて寝苦しい自分のことなど手におえなくて

食べると死ぬ花がいくつもあるはずの知らないままでゆく花鳥

送ったことを覚えてない歌が載っていてぎょっとした。最近は記憶のことばかり考えている。おぼえることとわすれることの隙間にあるものの多さのことを考えている。

笹井賞にだした「遠近譚」でも記憶のことを沢山詠んだ。

選評で小山田さんからもらった評に、「私は私であるというところにちょっと不安がある」と読んでもらって、わたしが知らない私があって、他者の中ではそれがたしかに連続しているらしいことへの違和感のことを詠んでたのかも知らないなと思った。

評で自分の詠み方にちょっと納得がいって面白い。自分のことなんにもわからなくて面白い。こないだ外食したもとてもお腹が空いたから山盛り食べられると思って沢山頼んだのに全然食べられなくて、自分のことなんもわからん……ってなっちゃった。(ぜんぶ食べた)自分の感覚のこと信じたいし、ぜんぶ疑いたいときもある。

タクミさんがさざんかの歌を見てダジャレ?って聞いてきたので言葉遊び……と釈明しつつ韻を揃えるのとダジャレの違いに自信がうっすら減る。

馬酔木にも毒性があるそうで、経口摂取の量によっては死に致ることもあるそうだ。(今調べて知った)

「塔」2024年3月号 作品2真中朋久選

🗝6/10首

@shoka
書こうとすると思い出す