毛深いのが好き

shokoyamaguchi
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今朝の散歩中、後ろからズンズン早足で歩いてくる人の気配がした。道幅が狭いのでこういう時は端に寄って通り過ぎるのを待つ。オレオは人が大好きだから、クンクン鼻を鳴らす。すれ違い様に「おはようございます」と挨拶をしたら「あらー!私も20年前に猫と犬と暮らしていたんですよ今はいないけど。かわいいわあ」とオレオの額をなでなでしてくれた。私より少し年上に見える。くるくるショートカットの髪型がすごく素敵な女性。

犬と散歩していると道端で知らない方とこうやっておしゃべりすることがよくある。大抵「私も飼っている」とか「昔一緒に暮らしていた犬と似ている」という方が私たちを見て足を止めてお話ししてくださる。このちょっとした時間が私はとても好きだ。

「本当にひさしぶりに(犬に)触ったわ、ありがとう」

と言った後にその人は続けて

「私、毛深いのが好きなんです!」

ときっぱりと笑顔で、それはそれは大真面目な顔で言った。

「私もです!」

とっさに私もそう返した後【毛深い】というそのワード選定の妙な面白さに吹き出してしまった。

「そう、毛深いの、熊とか」女性は笑ってそう付け加えた。

お礼を言ってくるっと回れ右をしてまたズンズン早足で先に歩いていくその人の後ろ姿を見ながら、何だか朝から爽やかな気分になった。

毛深い。私も毛深い生き物大好きだ。熊も好きだな。

今日は寒くて身体が縮こまりそうだけど、なんとか1日がんばれそうな気がする。

@shokoyamaguchi
描いたり作ったりする人。子どもと元保護犬オレオとの暮らしの記録。1982年生。津田塾大学学芸学部英文学科中退。休学中セツモードセミナーに通いドローイングを学ぶ。オーガニックカフェ勤務や半導体輸入商社の英文事務職を経て2021年〜動画デザインイラスト制作を始める。臨床美術士5級。読書・料理・音楽・映画・動物・ドライブ・旅が好き。最近自然農の家庭菜園をはじめたばかり。