ネパールの登山家ニルマル・プルジャさんのドキュメンタリーをNetflixで見ました。 ニルマルさんの偉業は世界に14座ある標高8,000m以上の山をなんと「7ヶ月」で制覇したことです。それまでの最速記録は「7年」なので、すごすぎです。。
見て思ったことを書いておこうと思います。多少ネタバレ含みます。
リーダーシップ力
リーダーの決断をチームが信じられるかは非常に重要だ。
時には弱さを隠す必要もある。
苦しんでいる姿をチームには見せなかった。
リーダーには自信に満ちた姿が必要だ。
俺の経験から思うにダメだという時には実際はその45%くらいしかダメじゃない。多くの人が諦めた。失敗をした。俺たちは団結して挑戦しよう。
他人の意見は関係ない。賭けにでたり危険を冒すことも必要だ。自分自身のために。
俺の最大の強みは「恐れないこと」だ。
ニルマル・プルジャ
「諦めたら死」という世界での意思決定は、間違えるとチームごと命を落とすことになります。だからこそ、自分自身に嘘をつき後悔する意思決定はできないのだと思いました。他人の意見は関係なく、自分自身のために意思決定をする。
楽しむこと
すごい意外だったのが過密スケジュールなのによく飲んでいるところでした。2座目の山を無事に登頂し、パーティーで飲んで楽しみ、寝てない&二日酔いのまま3座目のカンチェンジェンガ(8,586m)を一気に登頂してました。
カンチェンジェンガをベースキャンプから一気に登るなんてあり得ない。 しかも二日酔いだなんて、、 意味がわからないよ。 完全に常識外れだ。
プロ登山家ジミー・チン
10座目のK2を登るとき、一緒に登るメンバたちが全員暗い雰囲気でした。それまでに3回雪崩が起きていて、その時の山は最悪の状態で、誰もが登頂を諦めていました。 そこでニルマルさんは「まず楽しむ(パーティをする)」ことにしたそうです。こんなことをしようとしてくるのはニルマルさんのチームだけのようでした。 結果として無事に登頂成功。さらにその成果を見て他のチームも登頂に成功していました。自分たちだけでなく周囲にも好影響を与えたのです。 厳しさの中でも楽しさを忘れないこと。
やりきる力
最後の山「シシャパンマ」は中国政府の許可が下りず、登れないという最大のピンチが訪れていました。許可が下りない場合は諦めるのが普通で、許可が下りるまで待つらしいのですが、ニルマルさんは諦めず、2つの打ち手を打ちます。 1つ目は政治力の利用。自国のネパール政府の要人とコミュニケーションを取り、ネパール経由で中国政府を動かそうとします。 2つ目はSNSの利用。普段から自分の登山の様子をSNSにアップし続け、地道にファンを集めている状況でした。そこで「登山の許可をするように、みんな中国政府にメールしてほしい」と投稿します。 この2つの打ち手が功を奏し、最終的に中国政府から許可が下りたのです。 おそらくこの2つ以外にもありとあらゆる手段を行なったのだと思います。徹底したやりきり力、諦めない力で最終的に中国政府の決定を変えたのです。すごいです。不可能はない。
日々の徹底した練習や努力
ドキュメンタリーは1時間41分と短いです。その時間の中で14座も登ったので、すごいサクサク登頂していくのですごく簡単そうに見えてしまってるのですが、登山以外にも普段のトレーニングの様子やスポンサー探しのところもさらっと流れます。そこにフォーカスしてももう一本くらいドキュメンタリー作れそうだなと思いますが「徹底した準備をしている」というのが垣間見れるようなものでした。そうでなきゃこんな実績は出せないです。「7ヶ月で14座制覇する」という目標から逆算して、どのように日々を過ごすか。
個人的には今年は大谷翔平選手の偉業が一番衝撃だったのですが、ニルマルさんの偉業も同じかそれ以上の衝撃でした。
ニルマルさんの偉業は2019年だったのですが、恥ずかしながら自分は知りませんでした。ニルマルさんも「この成果を欧米人が達成していたらこの10倍は世界に広まっていただろう」と言っていました。ニルマルさんのこの取り組みの1つの目的が「ネパールの地位向上」と言っていたので、このドキュメンタリーはより多くの人に広まってほしいと思いました。 おすすめです。