これを自分で外していいのか、誰かが外してくれるのか、そもそもこの枷はいつから僕に付いているのか。
ずっと考えていた。
人間界の時間は早いもので
どうしたって僕と同じスピードでは動いてくれない。
うかうかしてると周りには誰も居なくなっていて、助けてくれと声に出すことも出来なくなっていた。
ある時、いつもの何もない真っ白な部屋で、少年は僕を見ていた。
どこか見覚えのある彼は、一言も発さずに僕を見ていた。
幾日も経ったある日、僕は聞いた。
「君、どこから来たの?」
彼はそれには返事をしなかった。
「君、僕に会いに来たの?」
彼はゆっくり僕の枷を指差し、消え入りそうなか細い声でポツリと言った。
「それ、取らないの?」
「取れないんだ」と僕は言う。
彼は首をかしげる。
「どうして?大人になって、取れないの?」
言葉の意味が分からなかった。
彼は言う。
「不思議だと思っていたのだけれどね、それ、誰がつけたの?」
分からないと呟いた。
「つけたのはぼくでしょ?」
彼は親指の爪をかじる。
「とれるのは、君でしょ?」
そして立ち上がると、出口のないドアに向かって歩き出した。
「とってよ、ぼくの枷、とってよ。もういいじゃない、とってよ。ぼくを救えるのは君だけじゃない」
最後に一言、「君だけじゃないか」と大声で叫ぶと、彼は風に紛れて姿を消した。
知ったような事を言って。
知ったような事を言っ、
そうか