これは知識のない人間が想像と思い込みで書いた記事なので、もし意図せず間違ったことを書いていればぜひ 優しく 教えてください
Proton AG という企業がある。CERN (欧州原子核研究機構) の科学者たちが 2014 年に設立した企業だ。スイスに拠点を置き、Privacy-First のメール、カレンダー、ドライブなどのサービスを運営している。そのなかでも特によく知られているのは Proton VPN であろう。
Proton が運営するサービスは UI が洗練されており、さらに無駄な広告も表示されないなど UX も良いことからわたしも 1 年ほど Free プランでアカウントを活用していた。Free プランでも十分満足できるクオリティであり、では Plus プランはどんなものだろう、試してみたいという気持ちはずっと持っていたのだが、如何せんまだ中坊のガキだったために カード番号というものを所持せず、そもそも自分で自由に使える資金もほぼないに等しかったため、なかなか手が出せずにいた。
4 月から高校生になり、某銀行に自分の銀行口座を開設し、デビットカードというものを手に入れた。なおこの銀行はわたしが口座を開設したのち わずか 3 か月でとても現実とは考えられないようなブランド刷新を行い、私をはじめとしたユーザに大きな衝撃を与えたのだが、この話はまた別の機会に持ち越すとしよう。
7 月頭に Proton Mail の受信トレイを確認したところ、 珍しく Proton Mail Plus が 初月限定で ¥100 ですよ、というプロモーションメールが届いていた。カード番号も手に入れたことだし、そこらの自販機のコーラよりも安い金額で厳重にプライバシー保護のなされたサービスを利用できるとのことだったので、部活終わりの三ツ矢サイダーを 1 本だけ我慢し、1 か月だけ試してみることにした。
このサブスクリプションで解放される機能は以下の通り:
Proton Mail / Calendar / Drive 共通の 15GB ストレージ
Free アカウントでは Mail / Calendar 1GB、Drive 5GB
@pm.me アドレスをエイリアスとして利用可能
10 個のエイリアス (@proton.me, @pm.me, @protonmail.com)
Proton Mail における 無制限の フォルダーとラベル
Proton Calendar における 無制限の カレンダー
10 件の hide-my-adress アドレス (Proton Pass)
これらの機能を 通常価格 ¥624 / 月 で得ることができる。
この記事を書いている 7/17 時点でサブスクリプション期間の半分ほどが経過したことになる。全然悪くないなと思った。カレンダーの色付けとか、メールの複数フィルタ作成とか、Free プランでは利用できなかった痒い所に手が届く感覚を覚えた。おそらく Plus プラン (もしくは さらに上位の Unlimited プラン。ちょっと高すぎて手が出なかったけど) に課金することではじめて Proton サービスの本領は発揮されるのであろう。
では、ここで わたしが ¥100 を支払って得た Proton Mail Plus で提供されるサービスと、天下の Google 様が無料で提供しているサービスを比較してみよう。
15GB ストレージ → Google ではデフォルトで無料
エイリアスドメイン → Google ではデフォルトで無料 (@googlemail.com)
10 個のエイリアス → 同じアカウントに複数のアドレスを紐づけることは難しい
なお アドレス末尾に "+○○" をつけることで代用可能
無制限のフォルダーとラベル → Google ではデフォルトで無料
無制限のカレンダー → Google ではデフォルトで無料
hide-my-adress アドレス → Google には同様の機能は未実装
iCloud メールとかにはあるらしい
あろうことか Proton に ¥624 を払って得られる特典の半分以上が Google では無料で提供されているのである。この 2 つのサービスの間にみられる ¥624 の差額はなにを表しているのだろうか?
おそらく プライバシー保護 であろう。
先述のように Proton のサービスには広告は表示されない。うざったいプロモーションメールも届かない。ユーザの行動を監視しない。Proton の提供する高度な暗号化の下では Proton 自身でさえもユーザの預けた情報の全容を見ることができないというから驚きである。
対して Google はどうだろうか? メールボックスにはちまちまと "スポンサー" の文字を小さく表示した、あたかも受信トレイに届いたメールのうちの一通かのようにふるまう広告が表示される。Google では、安全性や利用規約違反の検出のため、自動的な解析が行われている。また、Google の主な収益源はユーザー情報を利用した広告ビジネスだ。自分がうまれたてのかわいい赤ん坊だったころの写真を Google フォトにアップロードしたところ、なぜか児童ポルノ判定をされて Google アカウントが永久 BAN された不憫な友人には同情を禁じ得ない。
本来 ¥624 (実際の運営費はもう少し安いのかもしれないが) を払うことで得られる快適なインターネット体験は、Google に自らの個人情報 ―― たとえば名前、住所から、サービスにアップロードした写真、ファイル、メールなどの情報資産 ―― を渡すことで 金銭的には無料で提供されている、と考えていいのかもしれない。
プライバシーは、本質的に無料ではない。
さて、自らの個人情報と ¥624 、自分にとってどちらが高価だろうか?
Proton Mail Plus に今回割引価格で ¥100 を支払ったことで、今後の情報社会において大切な問いについて考える機会を得たような気がする。
現時点ではわたしは このサブスクリプションを来月も継続するつもりはない。
いち高校生にとって 月々 ¥624 は結構大きい
バイトとかできるといいんですけどね
Proton サービスの利用を始めたころにはすでに Google サービスのヘビーユーザであった。自分のメールや写真、 出来栄えの悪い模試の成績表なんかもすべて Google に保存していた
いわゆる 手遅れ というやつである。手遅れ
普通に Gmail と Outlook で事足りてしまう
高度な暗号化を行わなければならないような機密性の高い情報を扱う機会がない
これから 5 年も経ち、自分の娯楽に使う資金を自分自身で稼ぐことができるようになったときには、また違った考えを持っているのかもしれない。
これからも Proton サービスは Free プランで使用を継続するつもりだ。日頃より高度なプライバシー保護が行われたサービスを無料で提供してくれる Proton AG には感謝の言葉を言わねばならない。
Google、広く言えばビックテックのサービスが悪いと言いたいわけではない。私自身、今でも毎日利用している。ただ、「便利さ」と「プライバシー」は時にトレードオフの関係にあり、その価値を ¥100 の出費を通じて考えるきっかけになった。
2026 年、世界各地で 本当に個人のプライバシーは守られるんですかこれ、というようなルールが制定されたことをよく耳にするようになった。私たちは便利さと引き換えに、どこまで個人情報を預けることを受け入れるのだろうか。自分の個人情報を守るために、自分の時間的、金銭的リソースをどこまで割けるのか、割くべきなのか。今後の情報社会では最も重要なテーマの一つになるのではないか。
あなたも一度、熟考してみてもよいかもしれない。