人が光を見つめるのはなぜか。俺は夜に光る電灯を眺めるのが好きだ。なぜか。光は物質であって物質ではないからだ。光粒子は目に見えないが、それらは集まることによって、輪郭のない光線として、視覚野に到達する。
俺は光に自己を投影する。過去の記憶、未来への羨望を。それらは光と同様にはっきりした輪郭を待ち合わせないイメージだ。
もの想いという言葉がピッタリと当てはまる。思考なき思考。言語は光に吸収されて役に立たない。「エモい」という言葉で表される感情価はこの輪郭なき、もの想いに発せられる感情ではないか。
光は物質ではない。ゆえに、固定した形を持たない。それは何にでも変形し得る。ゆえに、あらゆる感情を受け入れる器として機能する。そこに、私は私の感情を言葉によらず想いを馳せるわけである。