人は生まれ変わると言うソレを、私はなんとなく信じている。けれど、前世が見えるというアレを、私はなんとなく疑っている。
しかし、人に言ってもまた不思議なことを言っていると、逆に私が訝しく思われてしまうのも人生を通して理解しているので、ただ淡々と私の脳の中で淡々と眠っている疑問なのだけど。
前世は、『何をしていた人間だった』『蝉だった』などと想定できる範囲の事を言われるのがお決まりだ。しかし生命は、何も地球上に存在しているだけのものでもないはずだと、私は思っている。仮に、地球上にしかいないものだとしても、知られていない生物だってたくさんいるはずなのに、前世はいつだって言われたら脳内に浮かぶ程度の名詞で語られる。
これは見ている本人も知っているものしか見えないのか、それとも見えても分からないから語れないのか、たくさんある前世の中で、一番分かりやすいものをあげているだけなのか、はたまた本当は見えていないのか、私には分からないことなのだけど。
そして2つ目の疑問。前世は自分より昔に生きている。常々思う。生まれ変わった先は未来なのだろうか。
時間の流れに生きているのは私達がそうせざるを得ない、それに抗えるような能力を持ち合わせていないからだ。しかし生まれ変わりだなんてものがあるならそれは、それは未知の世界。私達が自力で起こそうとしてどうにかなるようなことではない、いわば神の力とも言えるその事象。その世界で、果たして時間というものは機能しているのだろうか?
時間に左右されて生きているのは実は私達だけで、本当はそんなもの、他の視点では意味のなさないものの可能性は十分にありえるのではないだろうか。自分の後ろは過去で、前にあるのは未来なのか。そんなものは分からないのに。しかし、時間の中で生きている人間なのだから、当然前世が見えると言ってもそれが未来にあれば、見えない範囲なのかもしれない。
未来が見える人は実は未来からの転生者なのかもしれないし、何度も同じ人生を生きている人なのかもしれない。一人の人間がその人として生きるのは一度きり、じゃないかもしれないから。
可能性を語ればいくらでも好き勝手言える。結局のところ答えなんて所詮私達にはわかるものではないのだから。
それでも、終わらない問いを私はいつも考えてしまう。生まれ変わった先は未来なのか。