踏ん張る

sigreni
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カナダ・トロント留学生活5ヶ月目。先々週からついにここでの最後の学期になる冬学期が始まった。

自分が長期留学をしていることは、小学生の時から家でひきこもってゲームとインターネットばかりしていた自分としてはいまだに少し違和感がある。友達を遊びに誘うことさえほとんどしたことが無い自分が留学を決めたのは、オンラインゲームを通じてトロントに彼女ができたからだった。

彼女との出会いはまさに自分の人生のターニングポイントだった。交換留学の選考に選ばれるため、毎日学校の図書館で閉館時間まで残って英語を勉強した。家での空き時間や一時間半ある通学時間で英語のドラマやポッドキャストを聴き、英語圏のVTuberの翻訳切り抜き動画を作ったりもした。学部の勉強はIT系で英語とは関係ないものの、選考に選ばれるため頑張り、しまいには学部首席の成績を取得した。

最初は半分冗談だった「トロントに会いに行く!」という言葉は現実味を帯び始め、ついには滑り込みで選考に合格して彼女の大学に交換留学することになった。

本当に現実世界で会えたことが信じられなかった。

二人で色々な場所に行った。トロント市街地、ボウリング、CNタワー、ニューヨーク、ワシントンDC。。。 もうあげ出したらキリがないし、トロントに友達も家族もいなかった自分にとって彼女はこちらでの生活の大部分を占めていた。

そんな彼女に、先ほど別れを告げた。

どうしても考えや性格に合わない部分があることに気づいてしまった。今更そんなこと認めたくないし、好きだったのに、どうしても、埋められない差だとわかってしまった。これ以上一緒にいてもお互い辛くなるだけだったから、正直に気持ちを打ち明けて別れた。

故郷から10,000km離れた地球の反対側で、大きなものを失った。彼女中心で築き上げたこちらでの生活は、また振り出しに戻ったような気分だ。

こちらで取得した単位が自分の大学で認定されるのが交換留学のメリットの1つなのに、多分自分の場合は無理だ。なぜなら、自分が取りたかったIT系の授業の履修が前学期同様、許可されなかったから。自分の大学で履修している内容に近い授業でないと単位認定されないらしい。

日本の大学を1学年分まるまる休んで、英語ネイティブたちに混じって死に物狂いで授業に齧り付いても、結局は単位が認定されない。ここに来た大きな理由だった彼女も失った。

自分は何のためにここにいるんだろう。

たくさんの人に支えてもらいながらここまで来たのに、そんなふうに思うべきではないのに、そう思ってしまう。もう英語は大体自分の言えることは言えるくらいまで成長し、最近は頭打ちになっているように感じていて、これから一気に力が伸びるとは考えにくい。彼女はもういないし、ここで勉強している内容は自分の興味とはちょっと離れているし、おまけに単位は認定されないと来た。

自分の置かれている状況を書き出してみるとなんだか可笑しくなってしまう。今まで何度日本に帰りたいと思ったことか。

もう正直、いくら自分がここで頑張っても意味はないのかもしれない。でも、それでも、途中で投げ出すのはあまり好きじゃない。一度腹括って日本を出たからには絶対に留学生活を完遂してやる。残り3ヶ月、俺はここで踏ん張ることにする。

@sigreni
エンジニアを目指して勉強中の大学3年生。ひょんなことからカナダ・トロントのヨーク大学にて交換留学生として8ヶ月の長期留学中。 プログラミング、英語学習を軸に日々生きています。