去年の早川書房のKindleセールで買うか迷ってて、今年のセールで買ったから読んだ
「異なる言語の話し手が、それぞれの母語のあり方ゆえに、同じひとつの現実を違うやり方で知覚することがあり得るか」ということを、色の識別、言語学的性としてのジェンダーなどの研究の歴史を通して論じている
結局のところ「世界は自分の母語による切り分け方以外の仕方での切り分け方が可能であり、自分の言語の枠組みからは想像もできない多様性を持つという事実」がそこにはあった
ホメロスが「葡萄酒色の海」と言った地中海の色は我々にとっては鮮やかな青色をしている
だからといってホメロスをはじめとした古代ギリシア人の色覚がおかしかったということにはならない
古代ギリシアの人にとって、地中海を「鮮やかな青色」って思ってる我々の方が頭がおかしいと思われたっておかしくはない
本文より最後の今井むつみ先生の解説の方がわかりやすいので、本文を読んだ上で振り返るのが良い