050 2024-11-04 「美術の物語 ポケット版(エルンスト・H・ゴンブリッチ)」感想

sikako
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公開:2024/11/4

「ポケット版」とは名ばかりの、圧巻の1000ページ越えの鈍器本

本文と図版が分かれているが故のボリュームで、図版をパラパラ捲るだけでも楽しいぞ!

「未開」の民族の魔術としての美術から始まり、「知識」を絵として表したエジプト美術、エジプト美術を学んだ上で目で見たものを描くことを知ったギリシア美術、圧巻の建築とギリシア美術から好みを取り入れたローマ美術の古典古代、建築様式から見る美術への影響がどんどん書かれていく

長らくはキリスト教の教えをどうやって広くに伝えていくかが課題となって、明確さ分かりやすさが求められていく

そしてやはりルネサンスが重要な転換点となって、世界は理想化された世界を求める流派と見たままの現実を描きとめる流派に分かれていく

一方の北方では、宗教改革の影響で宗教画が衰退し、肖像画や生活画の発展に傾いていく

産業革命の時代に「写真」という絵画の根幹を揺るがす発明が現れて誰もが「見たまま」を残せるようになったことで、絵画は新たな局面に立つことになる

「目で見たままを描くのが絵なのか?」

これが芸術家たちの新しい表現を見出す力となっていく

ヨーロッパの絵画の長い歴史で、絵を描くという営みににずっと影響を与え続けているエジプト美術強すぎるだろ…