ぬるっとしたMCから一転、お馴染みのコール・アンド・レスポンスで煽られたままに年が明け、爽やかなギターフレーズを口ぎりにハネウマが駆けめぐってポルノグラフィティと私たちの2026年は始まった。
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ライブが終わったのは午前1:30頃で、だいぶ長丁場の年越しだった。ライブ後は同じくみなとみらい近場にいるポルノファンの友達と初詣に行く約束になっていたので、退場後各々が横浜成田山の境内を目指す。
ライブ会場から15分ほどの道のりを夫とポツポツライブの感想を話しながら歩くと、大通りを逸れていく路地沿いに露店の明かりが見えてきた。(このときGoogleマップは大通りを歩くよう進言していたが、賢明なるデブッチョンの塩釜焼きは華麗に指示を無視。)
チョコバナナ、フランクフルト、もつ煮、10円パンなどなどの心踊る文言を尻目に坂を上った先に大きな鳥居が見えた。LINEを確認するとすでに境内へ上がっている友人が多そうだったので、小さく礼をして先を急いだ。
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あけましておめでとうの挨拶は気恥ずかしい。今年がどんな年になるかなんて今の自分には皆目検討もつかないけれど、せめて自分の手の届く範囲の友人たちとはめでたい1年だったね!と振り返れる年になりますようにと思う。みんな今年もよろしくね。
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初詣を終えたあとは、ヨコハマで居酒屋を予約していた。大都市ヨコハマと申しましても、12月31日というスーパーホリデーに朝まで開いてるお店は意外と少ない。
友達の1人が予約してくれた居酒屋は、カウントダウンなんて関係なしに酒を浴びていただろう治安の人間たちでてんやわんやしていた。店員さんたちはクタクタの様相を呈し、運ばれてきたビールからは完全に泡が消えている。ポルノグラフィティと新しい年へビールで乾杯をして、今年の飲酒が始まった。大酒飲みの友達がポツリと「これプレモルじゃないな……」と呟いただけでもう面白い。水のように薄いアルコールに酒飲み勢はみな薄ら笑みを浮かべつつ、先ほどのライブの熱を取り戻すように感想を話していた。
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時間が来て一軒目を追い出された私たちには2つの選択肢がある。動き出した始発に乗って安寧の地へ向かうか、横浜の港から初日の出を拝むかだ。
陰キャのパリピたる私たちが選ぶのは勿論後者の選択肢だ。2軒目はお洒落なHubで常連さんたちのオウマサン談義を横耳に聞きつつ、凍える体にアルコールでエンジンを滾らせる。午前6:00ぴったりになったら海を目指して進むのだ!
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臨港パークまでは歩いて30分かかった。
途中アンパンマンミュージアムの前でアンパンマンと写真を撮ったり、セブンイレブンでブースター装置(※肉まんとマルエフとも呼ぶ)を入手したり、なかなか一筋縄ではいかない旅路を経てたどり着いた公園は、あと20分で初日の出という雰囲気に相応しく、海岸線沿いに人波が揺れていた。
我々もぬるっとその群れに合流して、だんだん白く明るくなる空を眺める。水平線沿いにだけそこそこの雲があるがそれ以外の空は快晴、果たしてこれは綺麗な日の出が見られるのか……?
水面にはカモが群れをなしてプカプカ浮いていた。カモから見れば「今日に限って人間ワラワラで草」って感じなのかな?などと話していたらあっという間に6:51、2026年1月1日の横浜港、日の出の時刻である。
太陽、雲に遮られて見れねぇ~~
ここまでみんなを引っ張ってきてくれた友達が「こりゃダメだ」と呟いたのが面白かった。
仕方なく人ごみから一歩引いて、持っていたビールを開封する。これが我々の初日の出だ。缶ビールはその丸さから縁起良いものとされている。なんて適当喋りながら酒をあおっていたら、雲の切れ間から目を焼く光が差し込んだ。周囲からもざわめきが広がる。
初日の出を見るたびに思う。待ってりゃ出るものと分かっていても、水平線から上る朝陽は美しい。
普遍的な美しさや高揚を誰もが平和に享受できる世界であってほしいなと、酔っぱらいは友達の笑顔を見ながらそう思った。
