▼別所に書き連ねた雑感をまとめた、やや徒花ネタバレ有。
🎋『竹取物語』は天人が〝きたなき所のもの食しめしたれば、御心地あしからんものぞ〟 (不浄な地の食事で具合を悪くしたことだろう)と言うところが好き。
〝しばし待て 衣着つる人は心異(こと)になるなり 物一言いひおくべき事あり〟 天上衣を着ると人としての心が失せる仕組みは、作者の中に理屈が有ったのか気になる。
翁は「下賤ではあるが善行を認められ、一種の褒美として姫を与えられた(一時的なもの)」そして姫は「何らかの罪を犯したが為、地上に降ろされた」
世界各地の羽衣伝承が上記関係というわけではないが、明が徒花作中で『羽衣』を話に持ち出したのは、自らを此の男性側と意識してるからだ。
普段から「出来る限りの慈善をしよう、徳を積もう(そして許されよう)」としている為「舞い込んだ幸福の人」を天女が如く思う。つまり一時的なものであると勘付いており、元の世界の物とは極力引き離したいし、奪い返しに来る天人を畏れる。そういう伝承や物語とシンクロしていたにも関わらず、結局ヒトの心無き天界に逃げ上がった。
明は矢代や夜こそが「酷薄な異世界」に身を置く者と思っていたが、実際は自身がそのような属性を心の棲家としていた。表面的には嘆くものの、強固な思想で縛られた世界の方が惑わずに済む。
明は何故そこまで自らを罪深いと思うのか? これは〝視え始めた〟頃に周りを深く動揺させた事、跡取りになれなかった負い目など様々有り──逃げ込んだ先で襲名したは良いが処分対象に同族も雑ざる為、更に罪を重ねてしまう。一層立場を苦々しく思い、その心にも不誠実の自己嫌悪が有る。
徒花終盤で天界に誘われるまま逃げ込んで、同じ流れを繰り返している。其処に養父母の慈しみや、業斗の鼓舞や、矢代の情けはあまり関係無い。
「選んできた道のすべてが納得いかない」「これまでのすべてに共通し関わっているのは己のみ→要因は己」という判断になる。それなのに繰り返す。
追記▼
【繰り返してしまうのは反省が無い為か?】
過去の経験から畏れが先んじ、咄嗟に痛くない方を選んでしまう所為。なのでどんどん悪化していった。