喉が渇いたので、午後2時49分にも関わらず外に出る。目的は自動販売機。
まずは風呂に入る。気持ちが良かったが、それ以上に億劫だという気持ちが強い。カプセルひとつ飲み込むだけで生存に関連する必要事項全てが終わってしまえばいいのに。そんなことをしていたら、生きる意味はカプセルと一緒に消えてしまうだろうけれど。
きっと外は寒いので上着を着る。何か聴いていないと不安になるのでイヤホンも付ける。流す音楽は池田亮司。多分冬の深夜にはこういう音楽が合うと思う。個人的な考えだけれど。
ミニマムな音楽を流しながら、薄暗い部屋で出掛けるのに必要な一連の作業をこなしていると、自分がまるで映画の中に居るような気分になる。それも自主制作映画。奇妙で実験的な音楽に、奇妙な映像。日常に非日常を1滴垂らすことで、よく分からない精神の微妙な変化を描き出そうとする試み。
こういうのを、夢現というんだろう。私は今、夢を見ている。
外は思うより明るい。きっと月が出ているからだ。月が出ないと、私は何処にも行けなくなってしまうのかもしれない。
自動販売機では緑茶を買いました。
好きだからです。緑茶が。
もう月は出ていなかった。さっきまで煌々とそこにあったはずのそれは、夢だったかのように姿を消していた。
もう幕引きなのかもしれない。
不規則に鳴らされる電子音の群れが私を包んでいる。
おやすみなさい。いい夢を。