p.62
★夫婦ともに六十歳になったとき願い事が一つずつ許された。妻が世界一周旅行を望むと、チケットが現れた。夫が「自分より三十歳下の妻がほしい」と言うと、夫は九十歳になった。
★「願いごとを三つかなえよう。ただしお前の妻には二倍の結果がもたらされる」と魔神に言われた男が、「千万ドルの預金を下さい」と願うと、夫に千ドル、妻に二千ドルの預金が入金された。「邸宅をお願いします」と願うと、夫には一軒、妻には二軒の邸宅が与えられた。最後に、男は「わたしを半殺しにしてください」と言った。
p.170 (一部抜粋)
妻が険しい顔をしている。いつも通りだ。いつものように距離をとっていると妻が語った。「大阪の地下鉄でハゲのおっさんに席をゆずられた」「よかったね!おめでとう」「ハゲのおっさんに譲られて何がうれしいのよ!」「ハゲでも若ハゲということもあるよ」「わたしより若いはずないわよ。そのハゲが私を見て躊躇なく譲ったのよ」「お前がニラみつけたんだろう」「ふだんの顔をしてただけよ」ふだんの顔がコワイという自覚がないのだ。内面の話に切り替えてみる。「きっと年齢を重ねた人間的厚みがお前からにじみ出てたんだよ」「年上を差しおいて座りたくなんかない」「じゃあ席が一つ空くと、年上のおれを差しおいてお前が座るのはなぜだ?」「レディ・ファーストよ」