仕事後においしい紅茶からのおいしいごはんを囲む予定があった楽しい日。紅茶のお店は少しだけわけてもらったスコーンの固さも好みで、もう少しおなかを減らして、あるいは後の予定的に食べても大丈夫そうなタイミングで、おやつも一緒にいただいてみたかった。


ミントに始まりミントで終わる。レモネードは相変わらずの大容量グラスで、ゆっくりと底に沈んでいく粉砕されたミントをだんだんやわらかくなるストローでかき混ぜ液体に巻き上げながら飲む。スパゲッティは3種類の中から散々悩んだ末に1つを選んだところ、ズッキーニとミントペーストという名前からはいっさい察せないくらいの乳成分を含んだクリーミーなソースで、いま思えばチーズ要素の強いジェノベーゼだったのかもしれない。乳成分の影ではかなげに手を振るズッキーニとミントペースト。ほかのメニューもとても好みではしっこはかりっと、お肉はしっとりとしたパクチーがよく合うチキン65、パンかお米を浸して残りの汁をさらいたかったりんごゴルゴンゾーラ、ナスの存在感を感じる粗めのババガヌーシュ、前菜のゴーヤのアチャールが特に印象に残っている。ゴーヤのアチャールまねしたい。
話題を振っていただき、以前読んだとても好きな本の話をしながら、わたしはこの本を読んだとき、特にほかに好きな本について日々話せるような友人もおらず、ひとりで黙々と本を読んでおり、むしろ本が友人だったなと20年ほど前の記憶をなつかしく思い出していた。あのころの本との付き合い方はあのころだけのもので、いま身近な人とその本のよさを分かち合えることもまたしみじみうれしく不思議な心地がする。本の話だけではなく、たくさんの話をし、話をしてもらい、の楽しい夜だった。
仲良くなりたい人たちとの距離感、遠慮することで逆に気を遣わせることもあるだろうし、しかし図々しくなりたくもなく、適度にひらかれた人間を目指している。