月一間借りスコーン販売日。早めに起きたのに準備にもたつき、到着はいつもと同じくらい、でもいつもの1.5倍くらいの列で、その長さに気づいた瞬間後悔。案の定いつも30分のところが1時間超待つ羽目になり、ベーシックなスコーン以外はほとんど残っていなかった。涼しくなったことと栗商品への人気が原因と見ている。でも私には鳥のかたちの全粒粉クッキーがある(たくさん残っていた)。よろよろと帰宅し、全粒粉スコーン半分こと梨とヨーグルトの朝ごはん。fujisanも淹れる。お腹を落ち着けてからジムで上半身筋トレと有酸素運動。帰宅してシャワーののち、スコーンと一緒に買ったキャロットケーキを半分こにしてから、高円寺の一箱古本市へ。中央線はマイホームと気持ちの上では馴染んでいるのに、ときどき身体がいうことをきかず電車で酔うことがあり、今日がふたたびその日だった。スコーン並びからの帰宅時とは別のよろよろ。首まわりのネックレスを外して一息つく。そして場所を座・高円寺と間違え、駅までUターン。相互フォローの方のスペース(?)に伺ってご挨拶&本を選ぶ。信頼の選書ラインナップ。気になるけど読めていない/知らなかったけど信頼している執筆者の書籍が複数目に飛び込んでくる。中からアントニオ・タブッキ『供述によるとペレイラは……』、『早稲田文学』2019年冬号の2冊を購入。早稲田文学はシリーズ特集第一回「ポストフェミニズムからはじめる」と銘打った号で、菊池夏野、ナンシー・フレイザー、栗田隆子、藤高和輝、ジュディス・バトラーと並んでいたらもう手に取るしかない人選。もう少しお話ししたくもお店の前を占有してしまってはと後ろ髪をひかれつつ、またぜひご飯をご一緒したい旨をお伝えし、中野方面へ散歩も兼ねて一駅歩いた。帰りがけにちょっといい梨やピオーネ、秋刀魚、ビールを買う。お腹が空きすぎて買ってその場で飲んだ飲むヨーグルトが「飲む」よりかなりヨーグルトよりの粘度でおいしくてうれしい。帰宅後シャワーを浴びて、ホクトのエリンギのCMソングを歌いながら炊き込みご飯を用意するパートナーの背中を見ながら『早稲田文学』を少し読む。私の担当の、10分でできる長谷川あかり酒蒸し秋刀魚も作り、晩ご飯。京都醸造のHAZY DANK IPA MONJAもあけた。苦味がうちゅうのそれに比べるとおだやかめで飲みやすい。


早稲田文学の菊地夏野論考は、購入時にその可能性を教えていただいた通り新刊の第一章として収録されている文章だったのだけど、2019年から「リーン・イン」「ネオリベラル・フェミニズム」ナンシー・フレイザーのいうところの「資本主義の侍女」としてのフェミニズムへの批判、これがこの雑誌における最初の論考であること、続けてナンシー・フレイザーのエッセイやインタビュー、収録されている他の研究者の論考との位置付けを確認しながら読むことができてよかった。コントロール可能な自己によって何もかも「男並みに」手に入れられる私たち女性、という幻想は6年経っても引き続きフェミニズムの重要なトピックでありうるし、それを手にしようとしたときに自分以外の他者に大きな犠牲を払わせてはいないか、という視点を持つことの重要性はフェミニズムに限ったことではない。「個人的なことは政治的なこと」って自分の苦しみを単純に他責にすることではなくて、自分は社会の一員として生きていて、社会に影響されている・社会に影響をおよぼす存在ということでもあると理解している。
すべての成人を、第一にケアの責任、共同体への参加や社会的コミットメントの責任のある者として想定する社会を築けるという考え、それはユートピア的ではありません。人間の生活が本当になんであるかに基づいたビジョンです。
p.25 ナンシー・フレイザーのインタビュー記事「資本主義におけるケアの危機」より
柳原恵「都市/地方と(ポスト)フェミニズム」は家族の中で唯一大学に進学した筆者が、フェミニズムが大学で"教わる"ものとされているとしたら、そうした領域へのアクセスが困難な地方女性に響くフェミニズムは果たしてあるのか?という疑問を抱き、東北のフェミニストについて調査を進めて出会った1950〜60年代の岩手の女子青年たちの生活記録運動を取り上げる論考。とてもよかった。書き言葉ではなく、話し言葉で書かれたガリ版ずりの生活記録文集を「フェミニスト・ジン」として読み直すという実践。『〈化外〉のフェミニズム』も読みたくなる。
栗田隆子さんのエッセイは本当にその通りです、という真っ当さで、ぼそぼそ声の次の本も読まなくては。フェミニズムの中のトランス排除についての論考はこれまで読んだもの・知識の復習として読んだが、トランス・ミソジニーについての理解があやふやであったことを明快な説明によって思い出した。藤高和輝さんの「「フェミニズム」に賭けられているもの」の"「フェミニズム」とはつねに「あいだを生きる」こと"という言葉に感銘を受ける。『ジェンダー・トラブル』そろそろ……?と思いながら最後のジュディス・バトラーなかばでもう寝る時間に。就寝。