10月19日

socotsu
·
公開:2024/10/20

編みものスイッチがオンになった勢いで積んでいたキットを開封し、さっそく着手。トップダウン、肩の下あたりまでぐるぐると編んでいく一体型のセーターの編みやすさに感激している。

編み棒にかかっている編みかけのセーター 襟の一部 白い毛糸

このスイッチはいつまで入っているのか、と思いつつ、かってに切れるまで編み続ける。

だらだらと過ごしてから、と書いてから朝一で走り終えていたのを書き忘れていたことに気づいた。歯磨きのような日課になっている運動のこと、だいたい省略してしまいがち。とにかくもう走りましたのでわたくし、という気持ちになり朝ごはんを食べ、ゆっくりとしたくをして外出。ひさびさに好きなお店のソフトクリームを食べ、やはりこのすっきりした味わいのソフトクリームがいちばん好きだ、という舌になってしまったことを再確認した。自分のこだわりポイントを把握できたことを喜べばいいのに、性格上、あるものに対する許容範囲が狭くなってしまった、というネガティヴな考え方をしてしまうけれど、基本的に食べもの・飲みものについてはとりすぎると摂取カロリーをオーバーしたり、具合が悪くなったりするおそれがあり、外食において、そのリスクをとってもいいものしか食べたくない(たいして自分の好みでないものは食べたくない・飲みたくない)という気持ちがベースにあるので、自分の心身のために好きなだけ面倒くさくなってもいいのかもしれない、と発想を転換してみる。いくら食べても健康でいられるなら・具合が悪くならないなら、ちょっとした合わなかった、もおもしろがってどんどん試していけるのだけれど、好みの幅以外のものもまあ許容、という場合と、もうこれ以外はほとんど口にしたくありませんという場合、両方あり。しかし蓄積を経てある程度わかった状態になる、AもBもCもDも全部同じに見えるからどれでも同じ、ということはない、という段階を知ることは悪いことでもないと思う。

ソフトクリーム後に東京ステーションギャラリーのコンラン展に立ち寄った。コンランショップの前進であるハビタの陳列棚を再現したコーナーでは、BREADと白地で書かれた大きな缶に収納されるパンの大きさを想像したり、魅力的な生活用品が整然と並んだ光景に、この中から自分に必要な一つを選んで持って帰りたいという欲望を喚起されたりした。ショッピングバッグや包装紙のデザイン、当時のカタログは一目見るだけで美しいカリグラフィー、ゆたかなデザインにも引き込まれる。また、コンラン氏が店のコンセプトに合わせてセレクトした家具や食器を売るだけでなく、自分の店に置く家具を作る職人を育てるため、有望な人材をスカウトして学校卒業後即支援(?)したり、都市計画に関わっていることも知り、遅まきながらその事業の手広さにも驚いた。レストラン経営までしか知らなかった。

生活に欠かせない身近なプロダクトをデザインし、それを購買層が望むインテリアにどのように組み込めるかを提案するかということは、イコールどう暮らすかを、あなたたちが送るべき人生はこのような豊かなものであるべきでは?とひとつの理想を提示することなのだろうから、そこに着目すればその時代の良いとされる生き方が見えてくる。ライフスタイル提案の文化史としての観点からもとても興味がわく内容だったのだけれど、複数のインタビュー映像を立ち止まって細長い狭い展示スペースで鑑賞させる形式は、内容自体はとても気になるものでありつつも、それぞれの映像の音声自体が干渉したりとなかなか集中できる環境ではないことから、それを鑑賞させるという展示の設定自体が難しく思えてならず、他に方法はなかったのかなと考えてしまった。撮影可能なコーナー以降、コンラン氏の書斎を再現したブースの絨毯の写真を引き延ばしたと思しき床に貼られたぼやけた印刷も、これってこのプロダクトを作成・提案していた人が許せる提示の仕方?と疑問が残りました。

テレンス・コンラン展のポスターが3枚並べて貼られている コンラン氏がすり鉢状のカゴ、あるいは逆さにした傘のような形の椅子に深く腰掛けて顔と脚だけが見えている様子の写真が中央に据えられている 展示の題字は青色

コンラン展を見た後コンランショップに向かい、ライフスタイル提案の実践(?)を確認した後、楽しみにしていた友人との食事へ。

決められない人間に最終決定権を委ねようとしてくれる友人とパートナーのやさしさに大混乱しながら食事のアラカルトメニューとワインのボトルを選ぶのも、また楽しい時間でもある、とあとから振り返る。甲イカのいろいろな部位が楽しめる前菜と生のセップ茸(ポルチーニ)の前菜が特に好みだったのだけれど、悩みつつ結局ボトルで頼んだワインが白も赤も、一本分ゆっくり香りや味わいの変化を感じ取るのが楽しいワインで、非常に贅沢な時間を過ごせて幸せだった。特に好みだった赤は、修道院のワインづくりを再現してガメイとシャルドネとピノノワール3種を混ぜているワインで、赤といってもロゼに近いのはシャルドネが入っているからなのかな?と不思議だった。札幌で気に入って複数回飲んだドメーヌタカヒコのミズキロゼを思い出すとパートナーにいわれて納得。万人向けのいい香りとは言い難いけれど、ずっと嗅いでいたくなる好きな香りがした。もう一年を締めくくってもいいなと思うようなワインをボトルで開け、忘年会のような気分で友人とパートナーとわいわいとあれこれ感想が言い合えたのも楽しかった。言い合えたと言っても。わたしは何が好きかを表す言葉をあまり知らないから、ひたすら「いい香りがする」「これ本当に好き」しか言っていなかったが……選んでくれる人にどのようなものが好みかたずねられてもうまく伝えられないけれど、飲んだら好きかどうかはわかるし、ワインの好みはかなりはっきり定まっているなと思う。食べものの話もそれ以外の話もとりとめなく話せる人たちとおいしいものを囲む時間のありがたみを噛み締めている。

甲イカの前菜 各部位に合わせたインゲンとナッツを和えたソース、ライムが効いたトマトのサルサ風ソースが盛り合わせられている

白も香りが好きで、しかし飲むといい意味で水のようにするすると飲めるワインだった。

赤ワインのグラスとボトル  Macon Rouge Cuvee 910

好きな人は年の最後に飲むワインとして選ぶことも、というようなことが書いてある販売サイトを見つけ、とても納得。これを飲みながら年を越したい。しかし年によって揺らぎのあるワインのようで、今このタイミングで出会えたこれがとても好みだったというめぐりあわせもありそう。

@socotsu
そこそこ/日記のタイトルは川柳