友人宅でさまざまな種類の紅茶を延々と注いでもらいながら、いま彼女がはまっているジャンルの同人誌や紅茶の本を読んだり、それにまつわる話をしたりする会に参加した。何かの物語のキャラクターに熱を注いだり、そのキャラクターの二次創作に思いを馳せたりするような物語との向き合い方からかなり距離をとってしまっているこの頃ではあったのだけれど、友人の好きな作品やキャラクター、キャラクターの関係性への思い入れ、またかなり昔に描かれた作家の同人誌に込めた熱量を目にすると、やっぱりいいなあと思ってしまう。自分の好きなものを理解して、でもまた別の意味で理解しきれていないそれを理解したいと思いながら探求するあり方のひとつとして、かつて自分にも存在した近しい思いを参照しながら、非常に慕わしいものとしてその状態を想像した。二次元・すでに完結している漫画・生死が発生する展開がない物語・スポーツ、というのはこれから新たに幻滅要素が発生しないので、生きている人・進行形のコンテンツに新たにはまるより安心感がある、という良さもあるのだけれど、そのキャラクターのことが知りたくて(原作者が描いているものではないのはわかっているけれど)同人誌を買っている、という彼女の話を、この感覚がわかってしまうのってなんなんだろう、今わたしにはその対象はいないのだけれど、と思いながら聞いた。そして友人から、あなたはこれが好きだと思うからとYなが先生のアンティーク同人誌を手渡され、恋愛というより人間同士の関係性の描き方の巧みさにひさびさに原作を読み返したくなってしまった。ロマンティックが発生していない二者間の関係性の描き方のオタクかもしれないと思う時がある。デコちゃんと小野が、橘が好き/かつて好きだった人間同士として言葉を交わす場面が特に好きだった。デコちゃんは自分と近しい思いを小野がかつて橘に抱いていたことを知らない。小野が一方的に彼女の様子を目にし、かつてのことを思い出し、彼女にかつての自分を重ね合わせるモノローグが本当によく、全然知らない謎の橘と小野の回想シーン(これもこの前に出した同人誌の中からの引用?)に???となりつつ状況を想像しつつ、Yなが先生の漫画のうまさに引き込まれた。今読むと古いところはもちろんあるのだろうが、4巻ものとは思えないほど濃密な物語展開が本当におもしろい『西洋骨董洋菓子店』おすすめです。大学の第二外国語の授業で知り合った初期、フリッパーズギターのCDを貸してくれたときから名ソムリエの友人のセレクトへの信頼がさらに深まった。紅茶もだけれど、中国茶により興味があるこの頃。
そして友人のお子さんふたりのそれぞれの年齢に応じた仕草がかわいく、また前回会ったときより成長したそれぞれの姿は、「成長」という言葉からはもう遠ざかっている年齢の人間にとってはひたすらにまぶしいものとして目に映った。知らない/知っているけれど親しくはない大人に見つめられて躍動感が増したり緊張するさまをかわいいなどと表現して、一方的な感情を投げかけて申し訳なさも募りつつ、同じ空間にいる時は見守りカメラその2くらいの役割は受け持ちたい、あまり役に立たない大人。

タマリンドソースがかかった鶏むね肉にアボカドをたした。ひさびさバインミー。

焼菓子に合う紅茶がどんどん出てくる(出してくれる)。おのれのカフェインのキャパシティを知りつつ、いろいろな味を知りたい。本日の友人のセットリスト、アイスティの色が薄い方がニルギリウィンターフラッシュ、濃い方がキャンディ、熱い紅茶が ヌワラエリア、ウバ、ダージリン(セカンドフラッシュ)の順とのこと。
いまはまっているものの話を聞くのも好きだけど、かつてはまっていた、さまざまな事情で手放してしまった好きだったものの話を聞くのも好きだなと感じる。きっぱりと捨てきれない、その人が好きだった対象やそれと共にあった周辺環境・人との感情のもつれを知りたいし、聞かせてくれたらとてもうれしい。