11月が終わる前に『ムーミン谷の十一月』を読まねばという焦燥感に駆られてページを捲ったものの、かの谷とその周辺に流れている時のゆるやかさに、そうだった、このシリーズはそんなにあくせくと読むものではないな、と幾度めかの気づきをえた。
驚くほど偏屈で自分勝手な生きものたちが、物思いにふけったり我が道をずんずんとゆく姿に、自分のへんてこさをひっそりと貫きとおすための勇気をもらう。
"秋になると、旅に出るものと、のこるものにわかれます。いつだって、そうでした。めいめいの、すきずきでいいのです。
でも、ぐずぐずしていて、とりかえしのつかなくならないうちに、もちらにするのか、きめなくてはなりません。"
トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の十一月』p.14より

冷蔵庫のなかでややくったりしていたフェンネルの葉部分を刻んでどかどか投入した鶏団子ときのこの出汁を吸い込んだ大根がおでんぽいスープ。おかわりにごま油と柚子の皮をかけたら二層分深みが増した。フェンネルの株部分ってちょっと心臓っぽいね(写真はない)。そしてこれは明日以降の弁当にもなります。

赤蕪と柚子のパイ、滋味深い味わいで知らないで食べたらあの濃厚な焼菓子を売っているお店のものと思えないくらい素朴、でも柚子の利かせ方が先日のルバーブと穂紫蘇のパイと近しいなと感じた。クリームの向こうからふわっと、でも確かに香る酸味よ。
