早起きし、今の店舗ではラストかな、とさみしくなりながら好きなベーグル屋へ。この時間帯でもこの長蛇の列?!覚悟していたが、と思いながら先日のオペラシティギャラリーの展示の記録を読みながら粛々と列が進むのを待った。
結構複雑な企画なのでさもありなん、いやしかしこんなに大変なの??というリクエストを受け付けた一部画家のはちゃめちゃな自由さに振り回される山野さんの疲弊具合とある一定の度合いを突き抜けて面白くなってしまっている様子にはらはらしながら読み進めつつ、ドキュメンタリーとしてかなり読ませる内容、しかしこれを「おもしろがって」いいのか…?という自制としてのノンフィクションとの距離を感じつつ、ガラス制作への希望展望絶望については全く未知の分野のため、非常に興味深く読んだ。しかしこのすったもんだを知った後に展示を見ていたら全然印象が変わっていただろうな、しかしまた行きたい気もする、とあのタイルが埋め込まれた外壁のそばでこの本を読んだ記憶をとどめておきたい。
そしてこの時間帯でもだめか?!(『テニスの王子様』の観月はじめが不二周助に途中でひっくり返される過程で絶望の淵に追い込まれた際の悲鳴リスペクト)というサバサラダの売り切れを嘆きつつ、ツナサラダとベジタブルクリームチーズ、たまごサラダとポテトサラダが頼めたのでよしとする。作りたてサンドのもっちもっちしたかみごたえはやはり唯一無二。
一旦帰宅してお昼ののち、悩みに悩みつつ、『ゴースト・トロピック』を見に映画館へ。オンラインで予約しておき気分で予定変更ができないよう自分を追い込みつつギリギリの時間に滑り込むタイプです。映画の前にひさびさに好きなスパイスづかいがとても好きな焼菓子屋さんへ。この時間だとチーズケーキがあるのか、しかし持ち歩き的にもおなか的にも厳しい、と泣く泣く諦め、常温で持ち歩ける焼き菓子をいくつか購入。人見知りのくせに好きなお店で店員さんに話しかけるめんどうな人間、友人と年末に訪れようと思ったけれど売り切れ早仕舞いで断念したことを伝えると、今年に入って初めてなのにいつもきてもらっているイメージがあると言われ、それはたぶん突然のハードリピートモードの時の勢いが激しすぎて残像を残しがちだから…と謎の申し訳なさを抱えながらお店を後にした。
とても好きだった。こういうと非常に難しいが、移民2世の子どもが主人公の物語は小説としてかなり読んでいたためテーマとして親しみがあり、しかし親世代視点の物語はあまり触れていなかった、という意味で元々自分の興味の範疇かつ好きな物語の系譜に連なるから、という想像をしていたのもある。近い生活圏内にいるけれどすれ違うだけだったかもしれない人たちの人生がふとしたきっかけで交差する。顔を合わせて親しく話し込む次の機会はないかもしれないけれど、少しずつ助けたり助けられたりする積み重ねで、生活は続く。そこに比重を置いて物語をふくらませようとすればいくらでもふくらむような事件の種はあるけれど、わき道に大きく逸れてはゆかない。それぞれの人の生活の深度をちらっと見せることで、このスクリーンの外にはみ出した部分に、この枠に切り取られる前と後の人生があるのだと伝わる。チョン・セランの連作短編集の一話のように、この前とこの後の様子が気にかかる人がたくさん登場する。気晴らしに昔4羽いたオウムが1羽になったことを話してくれるショッピングセンターの守衛も、他人の家に不法滞在する移民男性も、路上生活者の伴侶犬(生活伴走犬)も、主人公を送り届けようと申し出るガソリン補給所併設の小売店で働く女性も。とても親しい人同士ではないけれどわたしはあなたのことを気にかけているよ、だってわたしはあなたのことを何も知らないけれど、あなたが心配だから、という距離感がとても心地よく、その距離だからこそできることがあるのでは、とも思う。社会で何らかの生きづらさを抱えている人同士のケアの様子が描かれていることにほっとしてしまう自分がいて、でもその人たちに任せておいてはいけないことでは、とも強く思う。できることをやりたい。私は私の仕事(賃金労働ではない)を。
上記はとてもよいものをみたが、言葉にするのが難しいな、でもずんずん歩きたいな、そしてどこかで何か美味しいものを少し食べたり飲んだりしたい、という時間を経て生まれた感想で、映画鑑賞直後、ふらふら目的地へ到達しようとして全然違う道をずんずん進んでいることにだいぶ経ってから気づいてちょっと落ち込んだり、SNSの通知で目当てのお店のお菓子が完売したりしていることを知ったりしていた。そして途中で道路に飛び出そうになったボールを走って足で止めるというイベントが20年以上ぶりに発生した。文字面よりゆるやかなスピードでしたが…
菜の花とウドに春を掻き立てられる。
長谷川あかりさんレシピから食べたかったもの。
先日友人と訪れたワインバーで、これは好みの味だけど家でもできるのでは?と失礼なことを口にしながら後日それぞれの家での再現を誓ったごぼうとケッパーのオイル蒸しが美味しかった。先に作った友人に何となくコツを聞きつつ、基本は材料をそのままただ厚手の鍋に入れて蓋をして火にかけるだけです。普通白ではと思いつつ、だいぶ前に開けてそのまま飲むのは躊躇われる赤ワインの残りを水分として投入したくらいかな。