風早先輩の懺悔室 感想

soko
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公開:2024/11/26

風早先輩の懺悔室 感想

本日11月26日未明、あんさんぶるスターズ!! 究極の9曲企画曲である『風早先輩の懺悔室』が配信されました。筆者は風早巽とalkaloidさんのオタク歴そろそろ1年の新米Pです。2回ほど拝聴した感想を興奮冷めやらぬ頭でつらつらと書いてまいります。

一言で言うと、最アンド高でしたよ〜〜〜!!!!!

そしてめちゃくちゃ深イイ話だった!!!!

公式様ありがとうございます!! hallelujah!!!!

以下はネタバレを含みます。

懺悔室来訪者は5名でした。

じめにゃん

植木鉢を落としてしまったとお悩み相談のテンプレを引っ提げて登場したじめにゃんです。彼は己の罪に自覚がありました。鉢を壊し、植物を不要に痛めてしまったかもしれない行いに罪悪感を感じています。こういった反省と心配にじめにゃんの人柄が溢れている。性善な人柄からして巽の思う善良な人間そのものと言えそうです。巽はじめにゃんの罪を責めませんでした。罪に自覚があるからです。お世話をしようと手を伸ばす告解と寄り添いは理想的なお悩み相談でした。

じめにゃんってどんなお仕事もがんばってこなされますし、健気であり懸命であればそれが必ず自らの身を助けると頭でなく生き方で理解している人物と思っています。境遇に負けず腐らず自分にできることにがんばれるって、本当に大事だと教わっています。

こうが

ふたりめはコウガくん。告解はレオンさんがエサを選り好みするという内容でした。コウガくんと巽と同室ともあり、レオンさんの好き嫌いには覚えがあるようでした。同室組の暮らしぶりが伺える素晴らしい人選〜〜〜〜!!! しつけに協力すると締めくくるオーソドックスなお悩み相談でしたが、人のいいコウガくんは巽先輩がお悩み相談を募っていると聞いてあえて参加してくれたのかもしれないな〜と思いました。しつけの協力なら普段からしていそうでしたね。

りんね

ファ!!! マジで声が出ました。この二人の絡みの供給ありがたいです。そして呼び方!『巽ちゃん』って呼んでる……!?!?!? すごく気安い感じがしてイイ!! りんねくん→巽はそれほど苦手意識はなさそうだなとこの対応から伺えました。

『風早先輩の懺悔室』では、巽と似通った性質を持ちながらも手法の上ではことなりをもつりんねくんが、その相容れなさゆえに巽からNOを引き出した結果、風早先輩の懺悔室における巽自身の懺悔と救いの転機点となっている点がとにかく素晴らしいと思いました……!!!!!

以下は解釈を書いております。

りんねくんは巽が唯一と言っていいほど対応に苦慮している人物です。これはりんねくんの、相手のペースを乱しその人の人柄を引き出す手法に、巽の人によりそいたい姿勢や、実は己のやり方を通したい一面を持つある種頑ななあり方が反しているからだと考えます。

りんねくんと巽は似ています。論理的な思考であったり、上にたち人を導くリーダーとしての素質が主に上げられます。しかし特に巽側としては相剋もあります。

りんねくんは相対する存在の素質を引き出すためであったり、物事を一段階推し進める目的のためなら輪を乱すことやルールの破壊を厭わないとはメインストーリーからも明らかです。

一方の巽は、組織内の調和であったり平等、公平、規律を重んじます。神の教えや教育の賜物であるかもしれません。これらが顕著に示されたのが『遊色が奏でるオブリガード』ストーリーです。

りんねくんと巽は、思考回路が似通っている分お互いの手の内もわかるのだけれど、その手法の面で特に巽が疑問を抱いている、といった特筆点があり、りんねくんは相手の全てを受け入れてしまう風早巽のとしては異例の『受け入れがたい』を引き出せる稀有な存在であると思います。

りんねくんの登場を機に、懺悔室はただの告解の解決に止まらない奥深い話になっていると感じました。

りつ

これは意外な人選ですね!? 『タッちゃん』呼びがまぶしい。しかし凛月くんと巽はあまり交流しているところを見ない分、凛月くんのチョイスは珍しい人選と感じました。こういったところからも懺悔室に来訪する人物たちはそれぞれにお悩みを持ちながらも風早巽の人物像を色濃くしてくれる人選がなされていると推察しました。

りつくんのお悩みは『まーくんの読んでいる漫画を読みたいけど、ドラマ主演が兄者だから思い出して集中できない』という、ユニークさに溢れるある内容でした。しかし兄者ありきで扱われてきた凛月くんからすれば深刻なお悩みです。

このお悩みの解決法が『俺を思い出して、零さんを倒すから』なのがなんとも素晴らしいです。

Knightsの参謀である凛月くんは頭のキレる人物であり、大切な人への情けはより深いとストーリーから察しています。最初から悩みを『愚痴』と表しているのも論理的な解決を求めていない表れであり、よりそいを求めていることの証拠かもしれません。

凛月くんは巽の『零を倒す』のよりそいに嬉しそうにしていました。凛月くんの味方になってくれたこと、兄者ありきの存在として扱われてきた凛月くんからしても救いであったんだろうなと思います。

またこのお悩みの趣深さは『零を倒す』ということも挙げられます。

零と巽は似ています。おじいちゃん口調もさることながら、才覚を持ち、人に頼られ、奉仕の精神を持つばかりに己をすり減らすほどに与えてしまうところです。夢ノ咲学院にて自身に向けて救いを求める無辜の存在から離れ自分を守れたのが零であるなら、巽は玲明学院にて限界まで己を削り、脚を怪我しました。

この『零を倒す』と言う行い、実は巽や零の中にある『己をすり減らすほどに与えてしまう』気質を倒すことにも掛けられていると私は感じました。

『零を倒す(零を超える)』というキーワードは、凛月くんと巽を結ぶ共通点でありました。

そして最後のお悩み相談者が懺悔室の門を開きます。

Himeru

おおお待ってた!!! 巽と相対する人物最大手の一角であるひめるくんの登場です! 

ひめるくんがやってくると巽が嬉しそうにぽえぽえしているのが伝わってくる……!!!

お悩みの内容は『憎い男を忘れるにはどうしたらいい』

真理をついてきます。

大したことではないと前置きするほどに重大事項であると伝わる、ひめるくんの複雑さがバリバリに伝わるお芝居と関係性が白眉。憎い男本人に忘れる方法を尋ねるという神秘、駆け引き、玲明学園での一連のやり取りから連なる、風早巽最大の罪悪を知る人物が目の前に現れています。

巽とひめるくん(兄)の関係性は、ひめるくんが弟の要くんになり代わりひめるくんを表現していることから見ても非常に複雑です。巽としては、『今のひめるさん(兄)は昔のひめるさん(要)とは違う』と察していそうな点は、マトリックスストーリーでも伺えました。

一方のひめるくん(兄)は、風早巽さえいなければ要はひどいめには合わなかったと、巽を憎く思いはするものの、『ロマンチック?デート』では巽の状況と心境を思えばこそ『お前は悪くない』と言えてしまう。ロマデはひめるくん(兄)の視野の広さや情け深さを思わせるエピソードです。

『憎い男を忘れる方法』として巽が提示した解決策は『俺と話をして忘れる』でした。これがまた深イイ。

ひめるくん(兄)にとり巽自身が憎い存在でありながらも、話をして分かり合えなければ忘れることもできない。巽としてな考えるほど強固にこびりついてしまうと、論理的かつ感情的に寄り添っている。これは論理を重んじる巽とひめるくん(兄)の間で理解を深めやすい表現がなされていましたね。

ひめるくん(兄)の対応も最高でしたね……!!!

『巽のそういうところが……』とモヤモヤする思いを示しつつも、『検証する』として切り捨てない、検証なくして結果なしという情深くもあり論理性重視でもあるやり取り……お兄ちゃんの『論理を重んじつつも最後は情けに傾く』人物像が見事に表されていると感じました。

6人目のお悩み相談者

6人目のお悩み相談者は間接的に風早巽だったのではないでしょうか。

と言いますのも、最後のお悩み相談は相手(ひめるくん)のことを思いながらも実は巽自身の願いが含まれている点です。

話をする、わかりあう。これは巽とひめるくんがお互いを知り、ゆるすゆるさないを決めるおいては欠かせない要素です。いつか行われるであろうひめるくんからの告解は、風早巽にとり大きな試練のひとつです。

『検証する』と受け入れの姿勢を見せてくれたひめるくんの対応は、風早巽へのゆるしが与えられた瞬間でもあったと思います。

これを言い始めると全てのお悩み相談が巽にとっても『人と共に生きる術、なりたい自分になる方法、こういいうことをして生きていきたい』願いに見えてくるのだから不思議です。(植物や動物を誰かと共に育み、手強い相手とも対話を重ね、打ち克つべき己と対峙し例え勝てずとも人と話をして分かち合い、ひとときだけでも痛みを忘れる、人として生きたい願い)

また『風早先輩の懺悔室』全体のテーマとして問題を解決し乗り越える上での最初の一歩は『話をすること』と取り扱われている点にも触れておきます。これは懺悔室の存在意義そのものに繋がります。またお悩みとは、解決できることばかりではありません。憎い対象をゆるせるところもあり、ゆるせないところもあるものです。解決できることも、ゆるせるないことも、どちらも抱えて生きていく。懺悔とは、会話を通して相反するものの存在を自覚し、良い面とそうでもない面を認識きた上で、両腕に乗せてバランスを取ることであるというのは、この作品を通して描かれているテーマと私は感じました。

ひめるくん(兄)との会話、まさにグランドフィナーレに相応しいお悩み相談と回答であったと思います。

風早巽の過去から未来まで

じめにゃん、コウガくん、りんねくん、凛月くん、そしてひめるくん。5人の告解は風早巽の過去、現在、未来を表していたように感じられました。

性善そのものであるじめにゃんは玲明学園で過ごし擬似的に神をも模していたかつての巽自身を示唆し、レオンさんをしつけるコウガくんは玲明で孤軍奮闘していた巽を思わせます。

転機点はりんねくんの存在です。玲明学園での事故を機に、自分の頭で考えるようになった巽は、夏の一件やalkaloidとの出会い、『サテライト』でのストーリーを通して『受け入れがたいこともあると学んだ。

凛月くんへの回答『零さんを倒す』は、全てを選ぶことはできず、大切なものを選ぶためには敵として倒さなければならないこともある、見境なく奉仕する存在を倒す意味合いも含まれていそうです。

そしてひめるくんへの『話をして忘れる』につながる。

何もかもを忘れられるわけはない、しかしわかりあうために頭と心を働かせ、手を取り合う姿勢を示すことはできる。風早巽のソロ曲『Starlight of faith』の一説にもある通り『一人では叶うこともない』のは、懺悔も告解も同じです。

神ではなく模したものでもなくあくまでも人としてこの世にあり、誰とも対等に接し、悩み、よりそい、ゆるしゆるされ生きていく。

過去から現在、そして風早巽の未来を示唆する素晴らしい人選、作品でした〜〜〜〜ありがとう製作者様方〜〜!!!!ありがとうhappy Elements!!!!!!

以上、こじつけかつ解釈と妄想に溢れた感想でした。

また懺悔室に登場しないalkaloidメンバーについては、彼らは巽がゆるし寄り添うだけではなく『並び立ち共にある存在』であり、悩めるとき以外にも共にある家族だからかなと思いました。

単にシャッフルだから に止まらず理由が込められている作品作り〜〜〜〜すごすぎる泣

そして演者さんの演じ方とかめちゃくちゃ良かったですね……聖堂を思わせるパイプオルガンは格式があり、カントリーなギターは風早巽の牧歌的な印象にも繋がっている。無知でありわからないことが多いのですが、音楽ひとつとっても素晴らしい表現がちりばめられていると感じられました。

ここまでお読みくださりありがとうございました。

最後に一言。

レアなコンビでのデュエット最高でしたね〜〜〜!!!!