人界(じんかい)……人族の住まう領域。魔界の存在を知らずに一生を終える住人が多い。古くは魔界において坤輿(こんよ)という雅称で呼ばれていたため、長命種族の居住地域では未だに坤輿と呼ばれている場合がある。
魔界……魔物や悪鬼精霊などの棲む領域。寰宇(かんう)という古い雅称が存在するが呼ぶ者は少ない。
異界……神界、冥界などを含む不明点の多い領域の総称。
抜け穴……異界同士を繋ぐ経路のこと。ワームホールや秘密の小径(こみち)、隠し戸、破れ目などとも呼ばれる。解明されていない謎が多く、現れることも滅多にない。
人族……魔物でも妖精でもない非力な生物だが、他の種族にはない特殊な創造の力を持っているとされる。繁殖力が強い。過去に何らかの経路で人界から魔界に渡ってきた個体は外来種と見なされ(在来種も僅かながら存在する)、食用のため乱獲されたせいで絶滅の危機に瀕している。食味の良い個体の血統を繁殖させ家畜として所有している者もいるほどで、人族にとって魔界は大変な危険地帯と言える。
魔族……主に魔界に棲む者を人族が呼ぶ際にのみ使われる総称。そのため魔界で魔族呼びすると人族であることが周囲に知れてしまい危険に晒される。しかしウミウシの民などは「まぞく、なに?」「わかんない」とよく呟いている。
水妖族……水面に映る人族の姿を真似て暮らす水精の総称。固有種族を指し示す名ではなく、本性が竜や蛇、虫といった魔物の場合もあり、構成は多様である。人族が水中に落としたものから文化を輸入し、独自の文化を発展させた。人族に対する憧憬やフェティシズムを持つ個体が多く、関係を結びたがるが、根本的に異なる存在であるため悲劇的結末に終わることが多い。寿命を迎えると霞となって天に昇るとされる(昇霞)。水妖族が種族人口第2位を占める魚座国では手厚い人族保護法が制定されているため、魔界で行き場をなくした人族が命懸けで魚座国に亡命する例が多く見られる。
ウミウシの民……噂話と悪戯を愛するフレンドリーかつ気ままな小精霊。巷では死した人族の生まれ変わりであると信じられている。基本的に人族三歳児相当の知能を持ち単語で会話することが知られているが、実は古ウミウシ語という固有無声言語(テレパシーの一種)を持つ歴史ある民族である。まれに出現する高知能個体が民族神や首長として祭り上げられ民を率いている。人族への執着で孤立しがちな水妖族とも相性が良く、ファンシーな見た目もあってか非常に好かれている。魚座国において種族人口第一位を占める。平均移動速度が非常に遅く、弱者に見られがちだが、切断されても分裂増殖したり、焼かれても潤えば復活するなど実際は屈強であり、好戦的個体であれば戦士として一騎当千の働きを見せることで知られる。また、魚座国にはウミウシの民を中心に編成される王直属の近衛隊《ウミウシ兵棋隊》が存在し、ウミウシの民の間で羨望の的となっている。ちなみにウミウマの民というタツノオトシゴに似た小精霊も存在し、よく尻尾で水妖族の腕に巻きついてのんびり憩う姿が見られる。
牧羊神の末裔(すえ)……山羊と魚の諸特徴を備えた民。魔力の扱いに優れた者は機動性を重視して変化の術を用い、大きな角や獣耳を隠していることもある。音楽と踊りを愛し、急峻な山岳地帯を領土としている。本能的に高所を好むらしくよく木や崖の上で見かけるが、指摘してもなぜか否定される場合が多い。
随獣(ずいじゅう)……魔界における使い魔やペットの総称。動物や精霊、魔物に限らず、気まぐれな神々が暇つぶしで随獣となっている例も多く、主の言うことを聞かない個体も散見される。
馨香(けいか)……全身から芳香を放つよう特別な育てられ方をした観賞用生物。健康よりも刹那の美を優先して管理飼育される場合が多く、結果短命に終わることが多い。涙や涎、髪や肌皮など、肉体が希少香料として珍重され高値で取引される。特に数少ない人族の馨香(馨香人)は、王侯貴族を中心に《馨香狂い》と呼ばれる罪深い熱狂的愛好家を生み出してきた。魚座国の魚太陽王もまたその一人であり、許嫁の水瓶金星姫が馨香という事実は口さがない大衆紙で広く報じられ、度を越した著しい遅報で知られる《季刊ウミウシ日報》(原文ママ)の一面を翌年には鮮やかに飾ったことが局所的話題をさらった。
最果ての浜……世界中のゴミや落とし物といった様々な品々がぽつぽつと漂着する魚座王家所有のプライベートビーチ。散歩がてらのビーチコーミングにはうってつけの秘密の入江。陽が落ちている間は異界に通ずる門が僅かに開き、死者の霊魂に逢えるという真しやかな口伝えがある。
7室♓️太陽(単太)……海神と人族の巫女の間に生を享けた半人半神(デミゴッド)の水妖。苛烈で血気盛んな“暴れ竜”として知られる魔王で、その正体は巨躯を誇る大毒竜。万能型の名君として魔界を統べてディストピアを作り上げ、世界征服までも目論んでいた(MC72°)。理性的かつ紳士的に振る舞うが汚い手も平気で使う策略家。ただし好戦的に過ぎて挑発に弱いところがあり、すぐ喧嘩を買いたがる。手駒に情報収集させて揃えた一見繋がりのない手がかりを読み解いていき、自分は一歩も動かずに探偵じみた推理を行うことができる。諜報戦を重視し謎めいた布石を打っていくため周囲から不気味がられる。意見を通し、他者を思い通りにするのが好きな根っからの支配者気質で、パートナーに対する支配欲も強烈なものを持っていた。出陣ばかりで後宮をほったらかしにし、理想の相手にも出逢えず半ば諦めていたが、金星(45°)に一目惚れして以来ずっと尽くしている。過去のある出来事がきっかけで自然な笑顔を失ってしまい"笑わない王"と言われていたが、金星と火星の前では微笑をみせる。遊びの兵棋で金星をコテンパンにして尊敬の目で見上げられるのが好き。食べて寝て戦って抱いてという健全な欲求が強く、起きたら朝食前に一狩り出かけて獲物を焼いて食いながら帰ってくるくらいのことはする。ガラクタや変なモノ、戦場を駆け回ること、静かな場所が好き。わすれな草のような薄青色の丈なす長髪と、猛禽類の双眸や夕影にも似た黄金の虹彩をもつ。舌が青い。いくつかの名を持つが主にユランという名で呼ばれている。普段は隠しているが、感情が昂ると尻尾が出てきてしまい勝手にブンブン暴れ回るので近くにいると危険。小惑星合……カジミ(魚座18.28度からオーブ0,16度以内の合となる18.44〜18.12度)範囲: ラケシス(120)、エルミニア(705)、ワルキューレ(877)、アイスクラピア(1027)、プルゼニ(2613)、バグラチオン(3127)、トムタラカニア(10012)。オーブ1度以内: エルピス(59)、ケルヌンノス(481984)、ヨルムンガンド(471926)
7室♓️太陽(合太)……金星と火星によって貼られたベスタの紋章に力を封印され、暗君となった太陽。怠惰を極め、日々ぐうたらしては他天体(火星以外)にとやかく言われているが、辛うじて未だ魔王の座についている。極端な面倒臭がりで、仕事は水星に丸投げし、愛する金星さえ好き避けするようになってしまった。セルフネグレクトがひどくボサボサの髪がよくもつれるため、月・金星・水星や木星に梳かしてもらっている。静かなところでずっと寝ていたいのが本音。金星が記憶喪失したのをきっかけにアメシスという名を使うようになった。魔界の民は現魔王によるディストピアが崩壊して正直ホッとしているが、人族による魔界侵攻を危惧する声も上がっている。
7室♓️ベスタ……四大小惑星の一つで太陽合。ネイタルにおける唯一の合でもある。元々ズボラ気味な太陽を決定的に怠惰にしている要因。紋章だが意思を持っており、幼少のみぎりから血の気の多い太陽の考えを改めさせようとしている。ヤモリや人の姿をとることができ、表向きには合太の随獣ということになっている。レギンヒルトという名があり、近しい者にはレギンと呼ばせている。合……小惑星フォルトゥナ(19)、イレーネ(16)、ミリアム(102)、レギンヒルト(574)、ロムルス(10386)、リリプティア(2952)
12室♌️月……木星(51°)が拾ってきて養子にした出自不明の人物。太陽と水星の幼馴染だが、なぜか一人だけ肉体の成長が7歳で止まってしまい、みんなから過保護にされている。わがままだが、万物を慈しむ博愛精神と剥き出しの繊細な心を持つ。楽観的に見えて孤独に弱く、あふれる感情の渦にのまれて疲弊しがち。基本的に他人を易々とは信用せず、泣く時は姿をくらませている。土星外惑星(トランスサタニアン)とのトランジット・アスペクトの影響を受けやすく、年齢や性別がコロコロ変わる。土星(150°)のもとに行儀見習いに出されたことがあり、紆余曲折のすえ特別な関係になった。天王星(135°)とは文通友達。ミルクティー色の髪に、仔猫の目のような灰青(キトゥンブルー)の虹彩をしている。大人の姿になると素晴らしく甘くふくよかな香りを全身から放つようになり、馨果愛好家でもある土星からは「野生の傑作」であるとして大層気に入られてしまった。二人きりの時にはよく香りを嗅がれている。太陽の良き理解者。★合……小惑星エリフィラ(462)、オルトス/オルトロス(2329)、スウィート(11727)
7室♓️水星……「みんなが平穏無事でいてくれるのが一番だし、それが俺にとっても幸せなことだよ」「大雑把にくくればみんな同じようなものだし、性別とか関係ない」。太陽の弟で、ともに魚座国の双珠(そうしゅ)とも双公子とも称される。ほかには王弟殿下や大公殿下、宰相閣下などとも呼ばれる。知らないことがあるのが怖いとうっすら思っている耳年増ぎみの博識な文官。幅広い知識は持っているが深掘りはしない方。たまに徹夜で知識の穴埋め仕事をして時間を溶かしている。不思議ちゃんの月や天然ボケの金星が引き起こしがちな突発的事態が大の苦手で、一緒にいる時はフォローの仕方に頭を悩ませてピリピリしている(太陽は面白がって放置する)。台本通りに進める方が得意。外交関係では火星くらいしか頼りにできる者がおらず、それ以外は足手纏いと認識している。他に誰かできる人がいれば積極的に任せたいと思っているが、自分しかやる者がいないプレッシャーに弱い世話焼きな性格で、不器用ながら魚座国の宰相を務めるネイタルいちの苦労人(リリーの点数表も最下位)。無理も我儘も言わないタイプ。太陽からは皮肉で「宰相閣下」と呼ばれて嫌な顔をよくしている。正々堂々がモットーで、兄の狡猾な振る舞いに頻繁にドン引きしている。義姉となる予定の金星(36°)と話が合い、実弟のように甲斐甲斐しく面倒を見ている。また、火星の義妹のような存在・ディセンダントを託され、そちらも世話している。薄い赤紫色の長髪と、明るい黄緑色の虹彩をもつ。太陽と外見が似ているが太陽よりも身綺麗にしており愛想もいい。たまに王の替え玉をやらされてゲッソリしている。得体の知れない兄が正直なところ怖い。基本的に規則正しくぼんやりと生きている。師匠兼傅役(もりやく)の木星に可愛がられており、時折「役に立つから」と誘惑するようにプレゼントされる品々に夢中になってよく生活がボロボロになっている。木星には一番弟子と呼ばれるほど目をかけられているが、からかって遊ばれているため「口ばっかり」と舌打ちしている。しかし悪態のつき方も木星に似てしまっている。合……小惑星インペラトリックス(1200)、マナス(3349)、ポテト(88705)
5-6室カスプ♒️金星……神の声を聞く巫女。モノ自認の人族。生贄の存在を必要とする周囲の思惑により、神と太陽(45°)のために身を捧げ歌舞音曲を奉じる"花綵の巫覡(はなづなのふげき)"として、土星のもとで特殊な教育を受けて育った。金星に一目惚れした単太が誘拐婚を成立させ、正式に未来の妃として公表した。土星に丁寧に歪めて育てられた馨香人。妄想癖があり、雷に打たれるような運命的巡り合わせを信じるタイプ。全てがズレまくっている折り紙つきの変人だが、太陽とはお互いに一目惚れで関係が始まった。被支配願望があり、徹底的管理を単太に施される幸福な生活を送っていた。暁鐘と共に目覚め暮鐘と共に日課を終える、というふうに太陽の取り決めた時間割を遵守して暮らす。太陽手製の時間割表を手ずから自室の壁に貼ってもらった時は興奮しすぎて卒倒しそうになった。興味関心の範囲がとても狭く太陽のことでいつも頭がいっぱい。太陽が生きているだけで幸せ。自己反省意識が非常に強く、主に対する己の解釈違いを悟ると「わたくしは陛下を全く理解していなかった」「死にます」と大泣きしてしまうようなところがある。太陽にベスタを貼りつけた際に記憶喪失になり、支配関係が曖昧になったせいで不安定な状態になっている。雪のような純白の髪と虹彩をしており、適切な管理によって色変わりを楽しめるようになっている。瞳は白濁して視力が低いが、太陽だけは鮮明に見える。儀装を施された箱型寝台の中で眠る習慣がある。合……小惑星アンフィトリテ(29)、イシス(42)、チャップリン(3623)、ラマヌジャン(4130)
5室♑️火星……「普通であること」を貫き通して魔王の友達になった勇者。生贄の巫女・金星に仕える騎士として、幼い頃から傍らに控えて誠心誠意守るとともに、実妹のように可愛がってきた。金星のことは「姫」「金星様」と呼び、下にも置かない丁重な扱いをしている。いささか無骨ながら明るく朗らかな性格で、ネイタル惑星の中では珍しく太陽(51°)にうるさく言わない。組織よりも個人に対して帰属意識をもつタイプ。動物たち・名もなき人々・神々に至るまで無意識にたぶらかして「お前が言うなら」と味方につけてしまう。腕っ節が強く気持ちのいい人柄をしている反面、危機管理意識がかなり薄いため危なっかしい。なぜか不思議ちゃんに周りを取り囲まれがちで、魔王である太陽にも一目で気に入られて一方的に懐かれ、日々のナデを要求されている。普通の人族ながら魔王軍にさえ違和感なく馴染んでしまう協調性がある上、英雄と呼ばれると謙遜せずにはいられない性分。人の記憶に残りにくい、標準的で没個性な容姿をしているが、輝く笑顔と気立ての良さによって、各地で意図せずモテまくっている。恋人アセンダント(144°)を亡くしてからは独身を貫いている。アセンダントの忘形見であるその妹ディセンダント(36°)の後見人になったが、うまく意思疎通ができず水星に託している。師匠の土星とは同族(牧羊神の末裔)らしく外見がそこはかとなく似ている。王である太陽の友人であると言えば方々に顔がきくのだが、独立心が強すぎるためか、そんなツテはすっかり忘れてしがない一庶民のつもりで生活している。合……小惑星エンディミオン(342)、バルバラ(234)、ネフティス(287)、ストーンヘンジ(9325)
10-11室カスプ♋️木星……魚座国に拠点を置く謎めいた大富豪。太陽と水星の元養育係で元摂政。玉座に太陽を指名していった超権力者。月(51°)と結界内に引きこもりがち。みんなを可愛がっている。過去に冥王星(135°)からストーキングされていた。現在は水星からアプローチを受けている。合……小惑星シビラ(168)、ユビラトリックス(652)、ミスラ(4486)、ソクラテス(5450)、へメラ(9671)
5室♑️土星……通称・お師様。10天体で最もユーモアを解する。金星と火星の育ての親であり太陽の兵棋指南役でもある。過去に木星から幼い月(150°)を行儀見習いとして一時的に預かった経緯がある。女たらしの雰囲気を漂わせており、女性に話しかけられると反射的に口説いてしまう。大人の月を理想そのものとして女神視しており、特別な関係になってからは月の浮気嫌いを察して振る舞いを改めたが、誰にでも同じように接する月に対して密かに葛藤している。が特徴的。火星と同じ牧羊神の末裔で、チョコレートのような褐色の肌に優しい薔薇色の虹彩、銀の長髪に折れた角が特徴。そんなつもりはなかったし目立つのが苦手なのに、棚ぼたであれよあれよという間に一族を率いる立場に収まってしまった。合……バーテックス、小惑星セレーネ(580)、モンタナ(797)、リリス(1181)、オルマ(2517)、ジャンガル(2756)、タレス(6001)
5室♑️天王星……根無し草の異邦人。傭兵。行き倒れて偶然月(135°)に拾われ世話になり、文通相手になった。風の向くまま気の向くままあちこち旅している。合……竜馬(2835)、ヘラクレイトス(5204)、古事記(5454)、ペレグリーナ(6620)、ペーレウス(11311)
5室♑️海王星……名はイサラ。性別不明の吟遊詩人で、根無し草の異邦人。社会常識のある穏健派。細かく波打つ赤毛と、穏やかなオリーブグリーンの虹彩を持つ。合……小惑星イオ(85)、イサラ(364)、ピュラ(632)、モルペウス(4197)、ドクターワトスン(5050)、イザナミ(10227)
3室♏️冥王星……飄々とした闇の世界の住人。隙あらば闇堕ち勧誘してくる。木星に執着しており、その周りの天体にちょっかいを出す。合……ナチュラルリリス(h21)、小惑星ニュクス(3908)、ヤタガラス(9106)、夕焼け小焼け(10837)