プロテストにおける〈かわいい〉の力

clove
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FREE PALESTINE、STOP GENOCIDEのメッセージと、ハート型のキャラクター〈はー〉がミモザ柄の布地にプリントされている

友人でデザイナーのみさこみさこさんから、〈はーのパッチ〉を頂いた。

みさこさんのオリジナルキャラクター〈はー〉と一緒に、イスラエルによるガザ侵攻に抗議するメッセージが掲げられている。はーが元々とても愛らしい造形のキャラクターで、それが花柄やストライプの淡い色の生地に押されていて大変かわいい。消しゴムハンコのアナログの描線が柔らかい。

プロテストのために用いられるデザインは、一般にコントラストが強く、くっきりと大きくメッセージが書かれている。それは抗議の意思をしっかりと主張するために選択されたものだからだ。最も効果的なデザインが選ばれ続けているということ。

今回頂いたパッチは全く逆の方向性のデザインということになるのだが、では主張が弱まるかというと、そうではないと感じた。私はミモザ柄の生地のものをスマホケースの中に入れたのだが、花の黄色とデザインのかわいさで、見ると心が浮き立つ。何度も見たくなる。

さらに言うなら、政治的なメッセージを主張することへのためらいや、抵抗感が少し下がる感じもある。ガザの惨状の情報を知りながら、ここに至って何を情けないことを、と自分でも思うが、日本でプロテストの意思を表明することは、そのまま周囲とのコンフリクトを覚悟することでもあるので何も考えずに、ということが出来なかった。

ガザでは子供を含む市民が一方的に虐殺されている。こんなことは絶対に許されてはならないし、誰も殺されてはいけない。ニュースを見るたび、心臓を握りつぶされるような思いを感じながらも、主体的にイスラエル政府への抗議の声を上げることが今までできていなかった。

弱い私のためらいを、〈かわいい〉の力が後押ししてくれるデザイン。こういうプロテストのあり方を見せてくれたみさこさんに感謝している。

みさこさんのご好意で、あと数枚のパッチが私の手元にあるので、欲しい方はお知らせいただけたらお渡しします。

@someorikukuri
ライターです。文学、アート、ジェンダー、フェミニズム、テキスタイルなど。