哀れなるものたちを見た

sonidori
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ネタバレあり!

・淑女たれという教育を受けなかったベラがけもののように性的快感を楽しむんだけど、それは彼女の選択であり、自分の同意に基づかないものに関しては拒否感を覚えている。何をするにも進歩と自分の選択、がベラには一番大事なことで、性的快楽自体も(結果的に巻き込まれるけど)搾取ではなく冒険のひとつなんだな。

・自分も獣のようにセックスを楽しんで女性をやり捨てるのに、同じことをされたら所有欲爆発して発狂するダンカン……。そもそも婚約者から横取りしているし……。

・ダンカンがマーサのこと嫌いなの、公の場で性的なことを話さない淑女でもなく、パートナーがいて誰かの所有物でもなく、かつ知識のある女性だからだよね。幼稚で美しいモノでいてほしいベラには毒にしかならないもんね…。マーサ最高!

・アルフィーもモノ扱い極まれりだよね。残虐性はもってのほかだけど。当時はそれが普通かもしれないけど、やっぱり心は病むよねヴィクトリア…。最後にヤギになってしまったの、進歩もなく人に選択肢を与えず幻想の役割のみに固執する獣だったからこそ、性的快楽の象徴のヤギと入れ替えられたんだろうな。元のヤギちゃんは可哀想にスケープゴートということで…(本当か?)

・トワネットが最後一緒に暮らしていたの嬉しかった。マックスとの会話で、娼館は楽しかったけど安く買い叩かれている搾取だと気がついて、同じ志をもつ仲間、親友、もしくは恋人としてトワネットの人生における選択肢を増やしたんだろうか。

・ベラは性行為と愛情が一致しないタイプだけど、マックスはその意思を尊重しているのさすがゴッドウィンの教え子…。(もちろん夫婦間の話なのでベラをモノとして扱わなければ話し合いで折り合いをつけた方がいいんだろうけど)

・ゴッドウィンは生命倫理に反する科学者だけど、それはそれとして知識欲、進歩、自分の選択を最も大事にしていて、それがベラの思考にしっかり影響してるよね。ゴッドウィンですらベラのことを最初は研究対象、娘というモノとして扱っていたけど、ひとりの人間として好奇心を指針に歩き出すベラを止められなかった。

・淑女たれという誰かのモノになる教育は受けなかったおかげで、自分で選択し進歩せよというモノではなく人間として生きる方法を学んでいくベラの人生がこれからも冒険の連続であって欲しい。

・画面がずっと美しくて嬉しかった。行ったことないけどなんとなくフィレンツェのボボリ庭園のグロッタが頭の中にずっといた。リスボン、船からの風景、ゴッドウィンの屋敷のオブジェ、すべて美しかった…。服もめちゃくちゃ可愛かった。キャッチーなカラーが背景にすごくあってたし形も可愛かった…。

@sonidori
オタクの生活