朝からキングオージャーをみて、ラクレスの言う権力は最悪だ、という言葉で色々考えてしまった。戦隊モノで、権力側にいる人間の果たすべき責任を描いてきた物語において、権力の危険性どころか最悪とまで言い放ってしまうのは悪政を描いた物語として誠実では……。
特に今、裏金問題や震災対応、沖縄、万博等、最悪を目の当たりにしているから余計に響いてしまった。
特にラクレス自身は大義を抱えて、そうせざるを得ず暴虐の王に身を落とした人ではあるけど、その人をもってして、正義感は罪悪感を塗りつぶして怪物を作り上げると言わしめるのがすごかった。ラクレス自身は力に飲まれることはなかったかもしれないけれど、理由は関係なく、民にとって悪政は悪政で、犠牲者がいることに権力者は理由をつけてはならないというのを、ほかでもなくラクレスが理解している。理由があれば政治の犠牲になっていい人はいないし、そんなことを民に思わせていいわけがない。
それに、ラクレスが正義を持っていたことを民が知ってしまったら、本当の暴虐の王が現れたときに民は拳を振り上げられなくなる。ラクレスみたいに、何かから自分たちを守ってくれているかもしれない、だから刃向かってはいけない、となったら愛した民たちはいずれ滅ぶんだろうし。
シュゴッダムの民は割としっかり自分達の利を大事にしている(からすぐに扇動されがちではあるのだけど)し、王の政治や意向が生活に直結してるのを理解してるからこそデモしたりして政治に参加しているよね、と思う。コメディタッチに描かれてるとは思うけど。
それに、リーダーを決めずお互いに話し合い世界の方針を決めていく、と結論に落ち着いたのも良かった。平等の意図もあり、互いへの見張りの意味もある。三権分立が死にかけの今、この王様達の決定が地上波で流れるのか……。
なんか本当に、日本の政治家も、政治参加を諦めている国民にも、みてほしい…と思ってしまった。税金釣り上げた挙句裏金こそこそ作るのが政治ではないんだわ………。
もちろんこのセリフだけでキングオージャーの全てを手放しで絶賛しているわけではないんだけど、それにしても良い回だったな、と思った。