天使と呼ばれている世界の秩序を守る部隊。
天使は世界の秩序を守るために人間界を時々見守っている。ただ、見守っているだけではなく、堕天使の討伐も最近は必要となっている。
堕天使とは、天使の所属する組織から脱退した人たちの総称だ。ただの脱退ではない。戦う部隊から引退した者も天使と呼ばれる。つまりは我々から反旗を翻し、女神様を裏切った裏切り者の天使の総称だ。
堕天使を見分ける方法は簡単だ。彼らは天使の象徴である白い翼を持っていないからだ。彼らは黒に近い翼を有しているのだ。
だから、白くない翼を見かけたらすぐに上に報告しなくてはならない。ちなみに、白に近い翼ならやり直せる可能性があるらしい。反面黒い翼のやつは要注意だ。天使を裏切ってから長い年月が経っている奴か、裏切る意思が強い証拠だからだ。まぁどちらにせよ一般の天使は力に自信のない限り何人かで堕天使を取り囲んだほうがいい。
堕天使が更生する可能性についても述べておこう。まだ灰色に近い色の堕天使は積極的に更生させるべきだ。更生の方法は簡単だ。翼に「女神の裁き」を突き刺すのだ。そうすることで女神様のパワーと天使の清き力で黒き力が浄化されるらしい。弱い堕天使なら何人かが協力して裁きを与えることで元の天使に戻ることができるだろう。後は力尽きた堕天使を女神様のところに連れていけば彼らは元の天使に戻れるのだ。もちろん、堕ちた罪もあり全ての力は一に戻り、役職も一からスタートだがそれは仕方のないことだろう。
黒の翼の堕天使も諦めてはいけない。数例ではあるが更生した例がある。ただ黒い翼になると一般の天使では太刀打ちできない。その為、女神様直属の戦闘部隊を呼ぶべきだとされる。彼らが協力して黒き堕天使に立ち向かえば、きっとその堕天使も元の天使に戻ってくれるだろう。
だから、もし同僚や相棒が堕ちてしまったとしても諦めるの早い。皆で堕天使を元の天使に戻してやろう。
……話がズレてしまったな。
天使の役割は大まかに分けて二つ。治安維持と信仰集めだ。
治安維持は先ほど話した堕天使の討伐が花形ではあるが、もちろんそれ以外にも戦闘天使の為に武器を作ったり、彼らが休める宿を作ったりする仕事に従事している天使もいるし、世界の様子を観察し、それを報告する役目の天使もいる。もちろん私みたいに見習い天使の教育をする天使もいる。一人前の天使になれば自ら定められた仕事に従事するのが基本となるな。そして、その従事する仕事は階級の上がるごとに変わることもできる。もちろん同じ仕事をずっと続けることもあるがな。
そのため、今の仕事が合わないとなるともっと上の階級を目指すといい。それだけで可能性は広がるだろう。戦闘天使になるのもコツコツと上を目指すことが大切だ。
さて、もう一つの天使の役割。これが信仰集めだ。最近できた役割であるが、人間の信仰心が揺らいでいる今、大切な役割と聞く。
天使という存在を人間に思い出させて、彼らの心の何割かを占める存在になる。そうすることで信仰心が強まり女神様のパワーも強まるようだ。
具体的な話に移ろう。最近我々が行なっているのは人間達に画面を通して交流することだ。女神様曰く、人間達が興味を持つ配信を行い人気に成ることで、信仰心が増すらしい。その為、人間達が興味を持つような配信を行い、彼らから人気を得ることが今の我々に必要なことである。
それ以外にも直接人間を助けて信仰心を植えつけることや女神信仰を強める村を作ることも方法ではあるが人間が天使を直接認知できなくなりつつ今、画面を通して人間に我々の姿を見せることが一番効果的である。
ここにいる何人かは先輩天使の信仰集めを見たことがあるのではないか?
彼らが人間達に向かって話しかけたり、企画を行ったりしている姿、これこそが今我々が必要としている役割の一つなのだ。
人間に人気になることで、出世した天使も何人もいる。いち早く階級を上げるにはこの方法が一番効果的であるだろうな。もちろん、治安維持の仕事をきちんと従事して出世している天使もいるにはいるが、かなり昔の方法となってきているからな。
まだ若い見習い天使達は、この『配信』というもので、『人気』になることを女神様も求めている。
これからいろいろと頑張っていくように。
【とある、見習い天使の教育より】