読書は2023に出版されたものに限らず、この先の人生に影響を与えうるものを
音楽のはたらき(2012/初2023邦訳)
ナムコはいかにして世界を変えたのか(2023)
マッド・マックス怒りのデスロード口述記録集(2022/2023初邦訳)
風の谷のナウシカ(1982)
現代アートとは何か(2018)
アブサロム、アブサロム!(1936)
LeanとDevOpsの科学(2018邦訳)
チョンキンマンションのボスは知っている(2019)
ガザに地下鉄が走る日(2018)
音楽のはたらき
デヴィッド・バーンが2012年に発表した音楽についての総論。Talking Headsを経た自身の歩みは勿論あるが主題ではなく、音楽とそれがなる環境について。媒体について。ビジネスについて。録音とショーについて。音楽についてここまで広く深く考察された本ははじめて読んだ。音楽をする人でなくても、その聴き方と捉え方、一生を揺るがす一冊になる
ナムコはいかにして世界を変えたのか
マッピー・ディグダグ・ゼビウス…80年代ゲーム黎明期ナムコが産んだゲームデザインは今見てもオシャレである。その一つの要因として、ナムコが発明し世界を変えたゲーム音楽について歴史を語った本。ナムコが好きなのもあるのが、これまで読んだゲーム音楽本でも一番面白かった
マッド・マックス怒りのデスロード口述記録集
これもFury Roadを10回劇場で観た程好きなんだから面白く読めるのは当然なんだけど。花嫁候補にマーゴット・ロビーがいたとかトム・ハーディの人格がクソすぎてクソ嫌われていたとか裏話が面白いのは勿論、ジョージ・ミラーの人徳とキチガイじみた熱望、映画を作るというプロジェクトにかなり魅せられた。かなり型破りだが、一つのプロマネ本としてもかなり参考になります(ホント?
風の谷のナウシカ
実ははじめて読んで、普通に映像作品含め宮崎駿の中で一番好きになってしまった。画としてはすげえ読みにくいけど、書き込みと戦記物の緊迫感の演出の仕方が異常! …なのは砦の脱出戦辺りまでで、その後は超能力バトルになったり腐海と瘴気の超解釈だったり、長期連載にありがちな、昔の自分絶対そこまで考えてないと思うよ!? なライブ感満載で別の意味で超面白い。傑作
現代アートとは何か
テート美術展観ておもむろに現代アートを勉強したくなり最初に手に取った本がこれだったんだが正解だった(美術のト●ちゃんでなくてよかった)。美術の経済と背景を巡る最初の3章こそ難儀するが、その知識を経てからの後半部分は超面白くためになる。現代アートとは社会へのメッセージやインパクトだけでなく、生きることと死ぬことの意味を作品を通して『自分の中の答えを自分で見つける』能動的な大人の趣味だと学ぶ。良書
アブサロム、アブサロム!
フォークナーは長年温めてて昨年やっと八月の光を読んだので、これで2作目。百年の孤独(インスパイア先)と並べて語られることが多いのが分かった、ある家系と●●●●を巡る地獄のような聞き語りの物語。重い! 暗い! 疲れる! の3重苦を超えて読破した後の虚無感と余韻は、ガイブン以外からは摂取できない栄養素だ、僕らがガイブンを読む理由
LeanとDevOpsの科学
IT界隈では超今更な本で、これを通らずにアジャイルだの見様見真似でやってきてたんだけど…この最初に全部答え書いてあるんじゃん! アジャイルだのデブオプだの開発方式は全部目的でなく手段! 目的はとにかく価値を提供すること! そのためにとにかくデプロイをし続けることによって開発者のモチベを保て! とにかく価値(仕事)を産め! が科学的に検証されている
チョンキンマンションのボスは知っている
タンザニアから流れてきた香港のブレーカーに密着した、文化人類学の名著。日本人からすると知らない土地・知らない文化・知らない生活圏でどうやって経済が回り人と人が繋がり合って生きているのか? がルポタージュとして時にユニークに、常に誠実に描かれている。これまで読んだ文化人類学の本では一番好きだ
ガザに地下鉄が走る日
読んだ当時の感想。ジェノサイドが繰り広げられる、それでもその土地で暮らす人々について。Pray for Gaza
今年は他にもいっぱい読んだので9冊以外にも
ミュージックイズヒストリー
ザ・ルーツのドラマーにして映画サマー・オブ・ソウルでアカデミー賞まで受賞したクエストラヴが語る、彼が生きてきた時代の音楽史。ブラックミュージックを中心に幅広い音楽観がユーモアあふれる語り口で綴られる
ぼくはあと何回、満月を見るだろう / 坂本図書
教授亡き後、まあそうだろうなという出版ラッシュ。彼の生涯でも晩年となってしまったasync制作辺りからの記録の2冊。どちらも彼らしい、よくキレたり妙な持論を持ち出したりするエピソードが揃っててほっこり
ポップミュージックはリバイバルをくりかえす
世界のポップミュージック史をさらっと流した本かと思ったら、各ジャンルの「リバイバルブーム」に焦点を当てそのトリガーと影響とをそれぞれ考察したという、なかなかニッチな音楽本でかなり楽しく読めた
押井守の映画50年50本
マジで押井守の映画は何も見たことが無いのに2023は急に彼の著作にハマってしまった。たぶん聞き手の渡辺麻紀氏の構成力が見事にハマってるんだろう。ブレードランナーの項で語られる映画と時間の関係についての解釈は、これからの私の映画を観る、向き合う姿勢を一変させるものかもしれない…
解像度を上げる
ビジネス・プロマネの参考として手に取ったけど、経営者向けの項もあって何度は高かったけどその分仕事への向き合い方・切り口が非常に多方面から豊かで学びが多い本だった。単に読み物として非常に面白い
直島誕生
瀬戸内プロジェクトの発端となった直島アートの初代キュレーターであり、21世紀美術館の館長を務めた日本のアートを代表する氏の半生を描く。現代アートとしての学びは元より、全体の半分ぐらいはベネッセ会社員時代のサラリーマンっぷりが語られてて面白かった。超オススメ本
侵略日記
アンドレイ・クルコフ氏による、クリミア編入前後を語ったウクライナ日記の続編(続いてほしくなかった…)となる、20220224前後で現地では何が起こっていたかを記した文学作品となる。もちろんこの日記の結末は現実にもまだ訪れていないが、今はただすべてのウクライナ市民にエールと祈りとを送りたい...