10年で4回ぐらいは観てるノスタルジアがデジタル修復されたと言うので観てきた。この10年で私も子を持ち成長したのでより深く感じるようになっているに違いない! …と思ったけど深くなったのは眠りの方であり、内容も何言ってるのかさっぱり分からないままだった
分からないから面白い
でもやっぱり何度観ても分からないから、10年で繰り返し見ても変わらず楽しめるんですよ。説明台詞、漫画的表現、状況ナレーション、クソ喰らえですよ。分からないから自分の頭で考え、感じて、今スクリーンで起こっていることを自分の心象に合わせようとする。映像のポエジアで語られていたのは、鏡の公開時、「どうしてあなたの私的な映画がこんなに観客の心に刺さるんですか」って涙ながらの手紙を受け取ってタルコフ自身が驚いたとかそんなことかな(当時のソ連人レベルたけえ!!
ノスタルジアもそんなように、目の前で繰り広げらている画も詩も言葉も全然呑み込めないんだが、なんとなく自分の半生に照らし合わせると共感できる部分もあるようで、なんだか泣きたくなってしまう。進行も遅いし話はわけわからないしでエンタメ視点からすると「つまらない、退屈、最悪」な作品だと思うけど、私はやっぱりこういう作品が「面白い、最高」な映画だと思うんです…
オールタイムベストな映画か?
さてこのノスタルジア何と言ってもタルコフスキー、どのシーンをとっても構図が、水の表現が素晴らしいのです、相変わらず。次作で遺作となるサクリファイスも同じく素晴らしいのであるが、あっちは島の自然情景が主だから、宗教的でより絵画的な映像の美しさはこっちに分が上がるかな
タルコフスキーはずっと眠いのにラストシーンのぶちアゲ方(ぶちアゲ言うな)がどの作品も最高で、このノスタルジアも当然例外ではない。重々しく緊張感が途絶えない120分に、映像と音の美しさ、あんなラストシーンをもってこられちゃうと、ああ一本の映画を観たな…という言葉に出し尽くせない満足感をおぼえてしまいます、そこらの凡百の映画では物足りなく思えてしまうほどに!
4Kの美しさもあり、ノスタルジアこんなにいい作品だったっけ? と思ってしまいました。やっぱタルコフスキーが人類史上最強の映画監督やなー