ぼくのエリ 200歳の少女

soto
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大須シネマさんの恋愛映画特集にて鑑賞。雪の季節とは言え、恋愛映画でこの作品をピックアップするというぶっ飛んだセンス大好き。。

15年近く経って何度観てもダサい×ネタバレ×そもそも誤り(not少女)という0点の副題だが、散々批判されたためか以降ここまでヒドい題名はお目にかかってない気がする。エリとバス男は犠牲になったのだ…

鑑賞自体も10年近くぶりだったが、むしろ当時よりも画がカッコよく観えてよかった。構図もそうだけど、何より雪の白さにオスカー君の色素の薄い髪と肌とがなんと美しいことか。この次にさらに傑作TTSSを撮ったトーマス・アルフレッドソン、なぜこの勢いが続かなったのか…ヴィルヌーブランティモスに連なる次世代大物監督の誕生だったのに

他に当時と違ったのは、エリのお付き(愛人)のおっさんに感情移入してしまったこと。この作品では美しいオスカーも30,40年後にはこのおっさんと同様に禿散らかし、美少年にエリを寝取られるというループを思わせるラストなんだけど、オスカーもきっと最後は殺人に失敗し文字通りエリの血となり肉となって満足して死んでいくのだろうね…このおっさんのように。永遠なる美に身も魂も捧げて従順に生きて死んでいくその姿に、少し羨望を覚えてしまった。美しい者に降伏して従順な奴隷として生きていたい欲がある。春琴抄とか夜長姫とかにね!

あとは昔も思ったんだけど、いじめも殺人もエスカレートしていくのに学校も警察もあまりに動かなすぎるご都合主義ぶりが気になって脳内でノイズになっていく。お前ら全員冬眠してんのか???

10年ぶりぐらいに観る映画というのは自分の解像度が当時と異なるので、当時と全く同じ感想を抱くことは凡そ有り得なく、楽しめるか毎度毎度緊張感が走るが、ぼくエリはとても楽しめて観れた。よかった…

ただ、10年前に一度確かキネカ大森でスクリーンで鑑賞してので、「もう一度、スクリーンで観たかった」は「一度、スクリーンで観たかった」よりも新しい視点の獲得には薄いことも分かった。まあ、こればかりは仕方ないね…

あえて今この映画を上映してくれた大須シネマさんに今一度感謝を!

@soto
音楽/映画/読書/美術が好き Ars longa, vita brevis