哀れなるものたち※ネタバレしかない

soto
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アカデミー賞最有力×エマ・ストーン2度目のアカデミーか!? でなんか感動する文学系の作品っぽくゴリ押ししてるけど一見さん大丈夫なの!!?? この映画たぶん体感で上映時間の50%を自慰か性行為してるよ!!??!?!?!

ランティモスの帰還

「へーギリシャの映画だって変わってんなー観てみよ」

「なんやこれ」

とシネマスコーレで籠の中の鳥をたまたま観たのがヨルゴス・ランティモス作品との最初の出会いで、以後の上映作はすべて劇場鑑賞しているが当初の想像以上にとにかく出世が早すぎる。2作目でいきなりコリン・ファレルかと思ったら今やアカデミーの常連どころか早くも最有力までのし上がってしまった。

でもやっぱりめちゃめちゃ面白いもんな、彼の作品。この哀れなるものたちはこれまでのランティモス作品を総括するような全部盛り作品で、とにかくキレッキレ。女王陛下のお気に入りの美術で展開はロブスターだがテーマは性行為。あのエマ・ストーンがとにかく自慰と性行為しまくる、体張りすぎやろ

最悪のバービー

この最低最悪悪趣味映画の何が最高かって、結果的にバービーに正面からケンカ吹っ掛けてるところ。フェミニズム? 生きづらい女性を解放せよ? ハア? それで闘ってるつもりかよ。女性の自由はお人形ハウスでなくて売春宿から生まれるだぜ!

やってることは正反対なこの2つの映画なのに、解釈しようと思えば、それまで人形だった主人公が自我に目覚め自由を求めて逃走・闘争する…とシナリオが全く一緒なのクソワロタ。ある時期までのマーゴット・ロビーとエマ2人の扱いがハリウッドの奇麗なお人形として被るのがまた。自慰と性行為で繰り広げられる最悪のバービー爆誕。この2人と主演作がアカデミー賞巡ってキャットファイト巻き起こすの最高すぎてもう

バービー、個人的には近年稀にみる最悪にダサい映画だと思ってるけどね!

監督の人そこまで考えてないと思うよ

前も書いた気がするけど楽しい映画には共感して楽しむ映画とそれ以外で楽しむ映画の2種類があって、ランティモスは絶対的に後者だと思うよ、今作に関しても。こんな異常者しか出てこない映画の誰の何に共感しろって言うのさ?

相変わらず1シーン1シーンが絵画のような画面の美しさと、ベラの衣装の異常なまでの凝りよう、不穏で美しいどっかズレた音楽に理不尽な暴力と露悪的なセリフやシーンの数々…画面が美しいだけの悪趣味極まりないただのブラックコメディだからこれ! 性の解放とか監督は真面目に考えてなさそうだし、笑えばいいと思うよ。船でマーク・ラファロが婆さんを突き落とそうとするシーンのすべてが笑えて好き

そして99%が露悪だからこそ、1%の希望、ベラが売春を繰り返した果てに掴んだ生の意味と愛が映えるというもの。やっぱりランティモス作、大好きだ! これからもずっとファンです、まだまだ傑作を創り続けてほしい!

@soto
音楽/映画/読書/美術が好き Ars longa, vita brevis