読了

sou_aomi
·

川原繁人先生の著書『フリースタイル言語学』を読んだ。

本書は言語学者(音声学)である川原先生が、言語学ネタをベースに自身自身を曝け出したエッセイ調の読み物だ。冒頭に書かれた「物語を読みながら、音声学を学べたら楽しいんじゃないか」という言葉の通り、ストーリーとして面白く、しかも言語学のことを知ることができる良書だった。

川原先生といえば音象徴という、音の響きから受ける印象に関する研究が有名で、以下のようなキャッチーな研究成果を多くあげられている。

  • メイドさんのキャラと名前の分析:ツン-阻害音/萌え-共鳴音)

  • プリキュアの名前分析:かわいいイメージを想起させる両唇音(b,m,p)で始まる名前の子が28/59を占める

  • ポケモンの名前分析:濁点・発音時の口腔内の大きさ・名前の長さと、ポケモンの大きさ・強さのイメージが連動する

私が川原先生のことを知ったのは『ゆる言語学ラジオ』の音象徴についての回だ。この時はラップの押韻規則についての話テーマだった。

この印象から、身近な好奇心から面白い(fun)研究に着手している先生なのかと思いきや、本書では先生が社会への貢献・研究成果の還元をかなり強く意識していることがわかる。

軽妙なエッセイであり、研究をわかりやすく解説したポピュラーサイエンス本であり、川原先生というキャラクターにも触れる、いい本だった。

今年読んだ中では今のところ一番楽しめた本かもしれない。