今に残る葬儀の作法について

sou_aomi
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祖母の葬儀が無事終わった。

宗派や寺の方針か、葬儀の段取りにあまり見かけない手順が多く興味深かった。地方だから、古い習俗が残っているのかもしれない。

例えば、棺に親族の爪と髪を切り、白い紙に包んで頭陀袋に入れる。大叔母曰く、この包みで自身の悪いところを撫でて、一緒に向こうへ持っていってもらうらしい。夏越の祓で使うヒトガタみたいだ。

30年ほど前までは、棺の中れへ木の枝に餅を刺したものも一緒に入れていたらしい。

このへんも仏教というよりは神道っぽさを感じる。神仏習合の名残りだったりするのだろうか。

そのほか、お経が長歌みたいだったり、シンバルみたいな楽器をシャンシャン打ち鳴らしたり、終盤に僧侶が大声で「喝!」と気合いを入れたり、謎の赤い棒を振ったり(このあたりは臨済宗の作法かもしれない)

出棺時にはわらじをくくりつけた杖(青と白の斜め縞模様)を棺の上に乗せて一緒に焼いたりと、見たことのない工程が次々に繰り出されて葬儀の時間が目まぐるしく過ぎていった。

30年前の祖父の葬儀では、火葬場へ向かう前に棺を3回ほど回す工程もあったらしい。故人が帰って来る道をわからなくさせるためだとか。

さらに昔には故人の使っていた寝具を川で洗うなどの作法もあり、それは子供の役目だったそうだ。「水神さん、場所を貸してください」などと言い、冬でも川に入ってシーツなどを洗う。生地の厚い布団は夜露に晒し、その後乾かしていたという。この話をしていた大叔母は89歳で、父がこの風習を知らなかったことからすると、戦中〜戦後くらいの話なのかもしれない。

色々と面白い話が聞けて楽しかったが、物心ついて以降は関わりがなかった親類たちばかりなので気疲れした。

正直いって全員「誰やねんあんた」なのだが、なんとなーく知ってる風の、なんとなーくご無沙汰してます〜感を振りまいておく。何故か一方的にこちらの情報が知られているのはずるいと思う。

しかし、冠婚葬祭なんていう親戚付き合いイベントをこなせるなんて、そこそこ人間のエミュレートが出来るようになったじゃないか。