小説「なれのはて」を読んだ
フラックス発芽
なれのはて|加藤シゲアキ
4時間ほどかけて一気に読み切ってしまった。
とある事情により報道からイベント事業部へ転属になった主人公は、世話役になった後輩と共に、後輩の所有する絵画を主題とした展覧会を企画することになる。作者であるイサム・イノマタは謎の画家。展覧会の開催にはパブリックドメイン化してることが鍵。報道時代の伝手で作者について調べると、秋田に住む石油会社の一族にたどり着く。
作中でもモチーフとして何度か出てくるが、トンネルを両側から掘り進め、最後に出会うような物語だった。
不祥事の隠蔽、戦争、殺人、汚職、贋作。親子の不仲、自殺未遂。
汚いもの、辛いものもたくさんでてきて剣呑な雰囲気もある。でも、黒く淀んだ太古の生物の死骸が現代の文明に欠かせないものであるように、それらの渦中にも美しいものはあった。清濁合わせ呑む感じで読後感は爽やか。
2週間ほど前に植えたフラックスが発芽した
無事芽が出て一安心。このまま育てて繊維が取れたらいいな。