雪が降った。私の居住地にしてはそこそこしっかり目に。
かろうじて冬場はスタッドレスに換装する地域なので、朝早くの外出のため途中まで車で運搬してもらった。
雪の中を走る車というのは面白い。まず、発車までの一手間。エンジンをかけて室内を温めている間に車体に積もった雪を払い落として、フロントガラスに残る雪が溶けるまでしばし待つ。車内の温度が上がってくると、ゆっくりと視界を塞ぐ雪がフロントガラスを滑り落ちていく。つるつる。ワイパーで払いのけて車を出す。走っていると、舞い落ちる雪の粒が全部こちらに向かってくるような錯覚を覚える。
そう。つまり。雪にわくわくしているのだ。
運転する夫は呆れ顔だ。同じ四国出身の温暖育ちのくせに、奴は2年間の富山暮らしで雪にすっかり嫌気がさしてしまったらしい。富山暮らし当初は雪だるを作ったとか言っていたのに。やめてくれ。私ばかりが阿呆みたいじゃないか。一緒に雪を散らして遊んでくれ。嫌ですか。そっか……。