山奥の春は、平野部よりもいっそう爆発のような訪れ方だな、と、毎年春を迎えるたびに思います。パチン!と弾けるような、よーいドン!で始まるような、とにかく突然で、刹那の間に膨大なエネルギーが迸っていくような感じで、圧倒されます。眠っていた花や虫たちが一斉に目覚め、光や音はキラキラして、生命の気配をそこかしこで感じて、私までウキウキしてきます。季節とはそれぞれに異なる美しさがありますが、春のお祭り騒ぎみたいな賑やかさと絢爛さ、そして儚さは、特に目に眩しいですね。
春の花の中でも、とりわけ白木蓮が一等好きです。真っ白で、楚々とした佇まいも然ることながら、これだけの見事な花を付けながら、3日も経てばバラバラとけたたましい音を立てて一斉に散っていく、その見かけによらない騒々しさと、潔さが何より好きです。枝に停まっていた白い鳥の群れが、揃って羽ばたいていくような光景だなあ、と、毎年見惚れています。
住んでいるアパートのすぐ近所に、あまり手入れのされていない白木蓮の巨木が植えてあるのですが、よく観察すると、案外無骨な枝ぶりで格好良いです。モクレン目は地球上の花木の先祖と言われていて、1億年ほど前にはすでに今の姿だったらしいのですが、そりゃあこんなに完成された姿なら、最早進化の必要なんて無いよなあ、と、妙に納得してしまいます。
花ごと落ちていたものがあったので、おしべとめしべの様子もじっくり見られました。これがまた美しいです。原始的な花なので、めしべがたくさんあるのが逆に目新しく、どことなく艶めかしさも感じます。上を向いて咲くため、花の盛りの頃は白い花びらに隠されて見えない部分であることもまた、色っぽいですね。
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今回の更新は事前準備が間に合わず、22時過ぎに書き始め、まったく推敲していない状態です。白木蓮がいかに好きか、という魂の叫びを叩きつけたような記事になっているかと思いますが、それを修正していると19日が終わってしまうので、このままノー推敲で投稿します。切り捨て御免!みたいな文章ですみません。
最後に白木蓮を観に行く道中で撮った、花や景色の写真でお茶を濁しておきます。
『川光る』も、春の季語だと思っています。